ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2008.10

すっかり秋ですな。9月、札幌は最初は「あれ?」ってくらい暖かい日が続いててね、「これが残暑ってヤツかあ」なんてのんきに思って
たら2、3日雨が降って、やんで、一気に冷えてきました。ライブで大阪に行ってたんだけど、あっちはまだまだ日中はショートパンツでも
OKでした。こっからはもう冬まで早いです。秋ってのは一瞬で過ぎ去って行く。家の前の木々も色づいてきました。俺等の季節の始まりだ。

さあ!「秋の輝きツアー’08」が始まります。いよいよ出発です。ポスターもフライヤーも送って、セットも組んで、練習に次ぐ練習して、
ツアーTーシャツも作って(カッコイイよ)もう後はやるだけだ。その日、その時間、その場所に行くだけだ。各街に根を張る古くからの友人
達、そして今までライブで呼んでくれた友人達には本当に世話になりました。今回は自分等の企画なんで、全ての街、宣伝とか色々な仕込みを
しなくてはいけなく、でも各街の路上を歩いて、お店を回って、ポスターやフライヤーをまくってのは、札幌なのでできなくて、そんな時、
各街の友人達が俺等の代わりに忙しい中、回ってくれて、本当に助かりました。ありがとうございました。この借りは必ず返します。

先月も言いましたが、今回のツアーは全日程、ライブの時間は真夜中ではありません。18:30に会場オープンして、ほどなくNORTH
SMOKE INGのライブが始まります。俺等のライブが終わるのは22:00前です。皆、それぞれに仕事の都合とかがあると思うけれど、
何とか時間を合わせて、一曲目から聴きに来て欲しいです。お客が多くても、少なくても、もちろん俺等のモチベーションは変わりません。
しかし俺等、今回のセットはかなりの入魂で挑みます。去年の春から続けてきた俺とダイの二人芝居。常に自分等のライブの質を自分等で
疑い、執拗にほころびや隙間を探し、改良に改良を重ね、再構築に再構築を重ねてきたTHA BLUE HERBのライブ。俺とダイにはしっかりと
見えています。ずっと目指してきた「理想のライブ」と呼ばれる透明な時間と空間の彫刻のイメージが。もう少しだ。それを完成させる時が
来たんだ!ツアー後、12月は単発でライブのスケジュールは入ってはいますが、来年は制作に没頭する感じでいこうと思ってるので、ここは
是非!観てくれ。21世紀初頭、THA BLUE HERBとオーディエンス、そう呼ばれることになる現象の、一つの結果を見届けてください。

今回のライブツアーは全ての会場、前売りチケット売ってます。各会場で買える所もあるし、あとはローソンやぴあで売ってる街もあります。
例えばローソンだと、Lーコードをお店の機械(LOPPI)に打ち込んで買う形になります。ぴあだとP−コードになります。トップの冒頭でも
ポップで出てますが、各会場、チケットを売ってる場所、Lーコード、Pーコードの詳細はこちら

9月はライブは2本。

まずは大阪、ZETTAI-MU13周年パーティー。ここまで集まるかって位、凄腕が揃った。皆、今まで色んな現場でガチの手合わせをずっと
してきた本物のアーティストばかり。ここに名を連ねられてマジで光栄だぜ。一言でアンダーグラウンドと言っても、今や人の数だけ解釈が
あるし、これっていう答えなんてないんだよね、アンダーグラウンドっていう言葉には。これはさ、やってる人それぞれの姿勢なんであって、
ジャンルではないと思うんだ。この日集まったアーティストは皆、一応はアンダーグラウンドにいるってことになってっけど、アホみたいに
有名ではないし、逆に全然無名ってわけでもない。何つーかね、皆、ちょうど良い加減の場所にいるんだ。自分等の音楽を、やりたい時に、
やりたいようにやれてる、それも無理なくやれる場所ってのがあってさ、誰かに指図されてやってるわけじゃないんだ。皆、自由に音を出し
ている。お互いくだらない嫉妬とか全然なく、自分のやるべき事をしっかりと見据えている。ある意味プロ中のプロだ。責任は全て自分で
背負う。その代わり、アガリも自分等だけで分ける。何もかもが明快だ。話してても、皆、迷いがない。KAIKOOにも似た空気が漂っていた
よ。同じ時代、こうして同じ価値観を共有できるアーティストが友人としてあんなに沢山いる事に勇気づけられる。しかも皆、バリっバリの
世界レベル!友人、盟友、同志、ライバル、呼び名は沢山あるけど、とにかく俺等は、言葉に出して話した事はないけれど、考え方が近い。

俺等は同じ場所にいる。しかも他に居場所がないってワケじゃない。好き好んでそこに、底にいる。最高に居心地が良い。幸運だとさえ思う。
でも、それは裏を返せば、甘い内輪の集まりって呼ばれちまうかも知れない危険も持ってる。ちょっと話がそれてしまうけれど、例えばね、
でかいメジャーの会社に所属してる人ってのは、自由に全て出来るわけではない。それはお遊びじゃない。スタッフやチームメイト、色んな
人達の現実の生活がかかってる。もちろん嫌な事もしなくてはならない。仕事ってのは好きな事ばかりじゃない。それを歯食いしばってやって
かなくては喰ってはいけない。俺等の居場所もシビアだけど、そこもかなりシビアだ。俺は昔みたいに、無邪気に、でかいメジャーの会社に
いるアーティストを、単にそこにいるってだけで小馬鹿にしようとは思わない。むしろ、皆、よくやってると思う。ここで名前を出すとさ、
また、色んな勘ぐりを産むから、名は出さない。スタイルの違い、つまりは追い求めるアートの好みなんてのは、ここまで生き残って来たら、
言いっこなしだ。どっちでも良い。どっちが良いか、選ぶのはお客だ。ただ、ただね、俺等よりも確実に働いてるラッパーは少しだがいる。
俺は時々、その人のブログに行って、その働きっぷりを読んでさ、自分の甘さを見極めて、俺にもまだやれる事はあるって事を学んでいる。

話がそれた。大阪のライブの話に戻ろう。会場は去年と同じ、非現実的な空間。ステージは去年と違う場所でやらせてもらった。空港から
すぐ現場入って、リハ。OKIさん達と同じ楽屋。皆、久々。いい感じ。スタッフも気心の知れた人達ばかりでリラックスさせてもらいました。
で、飯。ここは行っとくか!って事で鶴橋へ。そう今年も何度も行ってるオモニ!今回も変わらぬ匠の仕事にやられまくった。っぱねえ。
で、本番。お客、詰めかけてたねえ。ありがとう。上がったよ。75分、ドシリアスな事になってた。曲間の誰もいないのかって位な驚く
べき静寂。俺もやってて、このライブは一体どこに向かってるのだろう?っていう不思議な感覚だったのを憶えている。その間も言葉は
読まれていく。一曲、一曲、確実に過ぎて行く。長いような、短いような、時間を超越した場所で皆、俺等も含めた皆、ぶっ飛んでたね。
最後の雷と、その後の皆の拍手と歓声で目が覚めて、この世に戻ってきたって感じだ。終わってから思うが、かなーりヤバかった。色んな
シンクロの仕方があるけれど、ただ事じゃなかった。貴重な経験だったとすら思う。皆、文字通り底にいてくれてありがとうございました。

クラナカ、たけし、そしてスタッフの皆さん。お疲れさまでした!あの場所、2回目、歴史は進んでいくね。どこまでもついて行きますよ!

翌日は早々に起きて、札幌へ。かなり眠かったけど、KRUSHさんはもう次の現場に旅立っている。南アフリカに!トップにいる人ってのは
1番働いてる。これ真理ね。とにかく!ここで俺等が疲れたなんて言ってられねえ。望んだ仕事だ。さっさと次のステージに向かうんだよ。

目指すはホーム札幌、フィルモアノース。いつも遊びに行ってる場所なんで、安堵感と緊張感の両方があったね。対バンはCALM BAND。
久々聴けるんで楽しみ。しかーも!今回は一緒にセッションする事になってた。俺とCALMさんがセッションってなると、そう、一つしか
ないね。JAPANESE SYNCHRO SYSTEM(J.S.S.)です。J.S.S.は去年のリリース以来、ライブは一度もしてなかった。J.S.S.は俺的には
リリースしてしまったら、もう俺等の手を離れてDJのモノになるって感覚でいたんだ。そりゃ色んな場所で聴いた。色んなDJがかけてくれて
俺はその度にダンスフロアーで最高の時間を過ごさせてもらった。そうしてる間にもJ.S.S.の皿は海を越えて旅を続けて、ニューヨークのDJが
札幌でかけたり、ロンドンのDJが東京でかけたり、アムステルダムでアムステルダムのDJがかけてたり、アテネでオムニバスのCDに収録され
たり、イタリアの雑誌に特集されたり、ドイツのレーベルから再発されたりって感じで、思った通りの広がりを見せてます。

初めてって事で多少の不安はあったけど、多分大丈夫。本番での爆発分はここではあえて触れずにって感じで、リハでは軽ーく合わせた。

この日は俺等本当に昔から世話になってるCAMCAMの独立1周年とSTILLYというお店の7周年、合同企画。おめでとうございます。うす!
皆、飯喰ったり、飲んだり、話したりといい感じでフロアーは暖まっていってた。俺等は静かにその時を階段下の控え室で待っていた。まず
口火を切るのは俺等、THA BLUE HERB SAPPORAW。愛するホームタウンでの2ヶ月3本のライブの3本目。ライジングサン、マジカルと
ここまではばっちりな流れで来てる。だが、ここをモノにしねえと意味がねえ。今日は古くからの友人も沢山来てる。それこそ昔、10年前、
あの、前のCAMCAMで一緒に、数えきれない夜を、ぶっちぎりの若さと上がりでかっ飛ばしてきた友人も沢山来てる。よう、久しぶりだな。
俺等は、まだ、やってるぜ。あの頃創った曲を、だ。まだ歌ってる。時間がたって、言葉にも少しずつだけど、あの頃のよりは重みが増して
きてるぜ。とにかく、絶対ここは逃さねえ。ここ外すと、次、いつ、このメンツの前でライブが出来るかわからねえ。気合いが入ってた。
とにかく熱かった。皆の熱さが俺等を燃やした。最高だったぜ。仲間と過ごしてきた長い時間の間に産み落とされ、育まれてきた俺の言葉、
俺等の音が、目の前に広がる、それを産み出した人達と産み落とされた空間に還っていく。一言一言がそこでは歴史であったし、皆が、皆で
見てきた真実だった。それは今となっては過去になっちまったけれど、まぎれもなくあの頃の俺等の現在だった。そして、この、今、俺等の
手の中の現在は、あの頃の俺等の未来なのだ。多くの友人が志半ばで倒れていった。昔の様に、毎日、何の責任も負わずに遊んで暮らしては
いけない。色んな事が変わっていった。何かが変わってく、俺は信じてた。そして全ては変わっていった。でも、それでもやはり、変わらない
モノも確かにあった。愛する友人達よ。聞こえるか?そこにいてくれてるか?あの夜も、あの夜も、どの夜も、全て長い道の途中の出来事だ。
皆、今や背負っているものは色々あるが、未来に向かおう。共に。

出番後は、つまり闘いの後は、心からリラックスして酒を呑みました。CALM BANDの極上すぎる旋律で、この2日間の疲れと傷を癒した。

J.S.S.は.........。究極に楽しんだねえ。言うなれば...........、やったー!って感じだったよ。これ以上は言葉にならない。とんでもなかったね。


先月触れてましたが、O.N.Oの自身2枚目のソロアルバムが発売になります。店頭発売は11月21日。その前にここのオンラインショップで
先行通販します。音、もう出来てきてますが、ぶっっっっちぎりのスーパーハード。全て言葉が入っていないインストなんですが、ドラムや
ベース、更にシンセがこれでもかって位、BLOW YA HEADって感じでひたすら饒舌に煽ってきます。詳しくは来月。楽しみにしててくれ!


そして今月、久々にオンラインショップが開いてます。春、夏版を経て「SEASONAL BEST:AUTUMN」が発売になってます。ミックスは
もちろんDJ DYE。今回は最も得意とするダウンテンポな楽曲でまとめてきました。寒くなってくると思考は内へ向いていくんだけど、そんな
意識の旅にはばっちりです。更に、THA BLUE HERB「TRAVEL JAM」をミックス内で分解、再構築してまして、語られてるカトマンズ、
マラケシュ、アムステルダム、バンコクのエピソードが意識を「西へ、西へ」と旅へ連れてってくれます。間、間に挟まれる曲もとことんまで
ドープ。いかにも俺等が産まれた秋って感じの作品です。オンラインショップ分の在庫がなくなり次第、閉めます。昔作ったステッカーですが
オンラインショップ限定で付けます。店頭発売は10月10日。直接の取扱店はまたここで告知します。よろしくです。

さあ、仙台に出発だ。北は青森から、南は鹿児島まで、北風に乗って一気に駆け抜ける。列島中の音楽愛好家の心を、紅く染めあげていく
青の旅団の季節。初めて行く街には記念すべき1回目、2回目の街には記念すべき2回目、何度も行ってる街には記念すべき日常の中の1日、
それぞれの、2度と戻って来ない特別な時間と空間を使わせてもらって、シンプルに札幌なまりの言葉と音のたった2つで、単なる馬鹿騒ぎ、
簡単に出来るぶっ飛び自慢や罵りあいではなく、人生における特別な何かという領域まで、俺等は本気で行こうとしているよ。皆、楽しもう。

AUTUMN BRIGHTNESS TOUR'08の始まりだ!


健康で。
ILL-B