ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2009.05

5月。札幌もやっと春らしくなってきた。ってまだ寒いけど。4月に行ったライブ先はもう既に春満開だったな。どこも皆、良いヴァイブスで迎えて
くれて感謝です。5月はまずは!2日にLIQUIDROOMで、東京上陸10周年ライブ。で、1年ぶりに横浜行って、久々のTURTLE ISLANDとの共演。
で、その週末は埼玉でとぶ音楽祭。春の関東圏目白押しです。月末は大阪、徳島とDJ KENSEIさんとのツアー。KENSEIさんは1999年5月2日の
六本木コアでのライブ(今で言う「演武」ね)で俺等の後にプレイしたんだよな。長いキャリアだ。リスペクト。一緒に音出すの久々。楽しみだ。

で、これは東京近郊の方々へのインフォメーションになるんだけど、5月2日のLIQUIDROOMで演武10周年に合わせて、今、LIQUIDROOM2階で
THA BLUE HERBをずっと撮ってくれているカメラマン(ウーマン?)、このウェブのトップ画像やDVDのブックレット、様々なレコードや
CDのジャケットでもおなじみのSUSIE先生のTHA BLUE HERBのこれまでの軌跡を辿った写真展「STRAIGHT YEARS」が開催中です。思えば
1番最初に会ったのは、もういつだったのか忘れてしまう位、かなり古くから俺等を撮ってくれている人です。根性あります!5月2日ももちろん
開催中なんで、ライブの前後に観てください。森ちゃんの映像に関しても言っていたけれど、写真も同様に修正が出来ない瞬間的なもので、そのまま
リアルにありのままが写る。SUSIEにレンズを向けられてる時、外見だけを見てる、見られてるとはとても思えない。心の中身まで覗かれてる
感覚になる。とにかく良い写真がたくさんあります。入場無料。ポストカード、T-シャツも若干数作って会場で売ってます。楽しんでください。


で、今年は演武10周年って事もあって10年前の自分等の、若く、無骨で、不器用で無鉄砲だが自信に満ち溢れるライブ映像を観たり、PHASE 3、
第3期も先月のDVD発売で1つの区切りもついたって事もあって、何かとこれまでの長い道のりを振り返る機会が多かった。で、そこから受けた
インスピレーションをリリックに1曲創りました!奇麗事で済むような道のりではなかったし、削り、削られもしたし、無傷ではもちろんなかった
けれど、俺等はまだステージ最前線にいる。そこで昔からの、そしてもう何周もした新たな世代のオーディエンスと向かい合っている。そして今も
完璧な音、表現に憧れ、それに向かって移動し、電車に遅れそうになって走ってる!「LIFE STORY」以後2年ぶりのTHA BLUE HERBの新曲です。
タイトルは上記写真展と同じ「STRAIGHT YEARS」。店頭発売は「演武」DVDと同じく5月20日。まずはCD。ワンコイン500円1曲勝負!


本当は5月2日にアナログを先行発売したかったんだけど、シスコ撤退以後初となるアナログカッティングって事で、何かと作業も再構築しなくては
ならなくて、万全の音質で出すには時間が足りなかったです。でも今、試行錯誤しながら創ってます。アナログは12インチで5月末もしくは6月頭
にはリリース予定で動いてます。A面はTHA BLUE HERB「STRAIGHT YEARS」B面は昨年発表したO.N.Oのアルバムから2曲を収録する予定です。
お楽しみに。
  
上記のCD、アナログはウェブ通販はしません。ウェブ通販は今月12日に「演武」DVDを発売します。「演武」DVDはビデオの映像をそのまま
DVD化しての再発売ってこともあって前作「STRAIGHT DAYS/AUTUMN BRIGHTNESS TOUR '08」のように沢山は作りません。完全限定生産、
売り切り仕様です。なのでどうしてもって人はお早めにゲットする事をお勧めします。よろしくです。

「STRAIGHT DAYS/AUTUMN BRIGHTNESS TOUR '08」リリース時にスペースシャワーで特別番組を作ってもらったんですが、それがPC上で
観れる事になりました。ここから。


「STRAIGHT YEARS」発売日近辺から、日本中にもう1つ大きな驚きの仕掛けを施しています。こちらもお楽しみに。


4月はライブ6本。

福井。思えば最初に行ったのは2000年秋。その頃、日本中で俺等の事を知っていたのは今よりも全然少なかったはずだ。あれから、もう何度も
呼んでもらってる。箱は無論CREME。DMC世界チャンピオンDJアカカベの店。小松空港に着陸したのはまだ昼過ぎだったんで、ここも定番インベの
親父さんとこでカレーを喰う。行く度に旨くなってるような気がする。これぞ円熟やね。で、少し宿で休んで、リハ、時間かかったがエンジニアさん
が頑張ってくれた。で飯。福井焼き鳥の総本山、秋吉でたらふく喰って本番。相変わらず皆、熱い!福井、熱い!新たなセット初日、どうなるかって
感じでしたがばっちり。勇気をもらいました。ありがとうございました。終わってからは古くからの友達とかと大いに飲み、笑いで良い夜でした。

少々二日酔いだったけど起きて、飯。アカカベのお勧めの極上のそば喰って、福井を出発。目指すはTBH第2の故郷、京都。去年の秋のツアー以来、
もう何回目かは数え切れない。春は久々。でも雨。箱はMETRO。仕切ってくれたカズの出迎えで会場に着くと既にトンコリ奏者のOKIさんがリハ中。
兄貴久々!談笑しつつ、リハやって飯。たまにはさ、別のもん喰えば良いって言うのは重々承知なんだけどね、やっぱここ、龍門。今回も揺るぎない
極上すぎる中華喰って、本番。しっかし暑く、熱かった。京都はこうなるからたっぷり喰っといて良かった。激突する俺等とオーディエンス。2対
400。これぞガチ。空気は薄く、道は険しく、消耗も半端なかったが、極限の向こう側に行けた。最高に楽しかったぜ。ありがとうございました。

ライブ終わって、前日からのゴールってことで、しかも京都の友達も沢山遊びに来てて、上がりすぎていささか飲みすぎた。でも翌日速攻起きて、
大を起こして外に出る。この日は久々の京都でオフ。しかも空は前日の雨もあがり、快晴!で、川沿いでやってる木屋町ポンクルーの花見に参加。
桜も満開!皆、上がってる!前日の酒も余裕で残ってたけど、飲めちゃってたな。俺にとって年に数回、普段は深い夜に、音楽が鳴ってる所で会う
友達ばかりで、この日は春の太陽と桜の下、たくさん子供もいて、皆でわいわい遊んで、笑って、語って、最高に楽しかった。俺、ずっと笑ってた
気がする。ドクター!色々ご馳走さん。その日は一旦仕事で宿に戻ったんだけど、結局またポンに行って遊んでしまった。春の京都、満喫しました!

翌々週は長野県松本市。1年7ヶ月ぶり2回目。箱は初、RAIZ。チャッピーを筆頭にスタッフ皆の手で作り上げた店内は、広くて、音も良く、俄然
本番が楽しみになってくる。マーシーと合流して飯、馬肉!あんまり北海道では喰った事ないな。いつかの熊本以来だったけどやっぱり旨い。で、
本番。ステージに出て行くと沢山の拳が上がってる。B-BOY率高い!よっしゃー!俺等のライブってあまりB-BOYで占められるってことは滅多にない
んだけど、B-BOYにしか分からない細かい仕掛けも沢山持ってきてるんでめちゃ上がったぜ。無論ただのバカ騒ぎでは終わらないのが無心雑青葉流。
ドープにしっかりやらせてもらいました。ありがとうございました。残ってたオーディエンスの皆と写真撮ったりしながら、この日も結構飲んだね。

翌日、快晴。宿の部屋から山が見えた。ヒマラヤを思い出した。長野、今度はゆっくり来たい。山口へ出発。信州から長州へ。一路西へ。意外と時間
かかって、この日も着く頃には暗かった。BUPPONの出迎えを受け、今夜の舞台RISEへ。主催のAXIS FAMILYと久々の再会。皆、若く笑いが絶えず、
あの頃の平岸の俺等のようだ。極上の刺身をいただき、本番。後ろまでしっかり入ってくれたオーディエンス。彼等、彼女等、そしてAXIS FAMILYへ
渾身の言葉と音を体2つで撃ちまくる。誰もそこから、底から動かない。皆、俺の口元から目を離さない。暗黒のトンネル。やがて光が差し始め、
迎えた出口、待ってたのはあの拍手。ありがとうございました。終わってからはPEOPLE行ったり、山口の皆の愛に心を開放させてもらいました。

そして神戸。年1回は呼んでもらってる街。快晴。箱は2回目マージービート。今回はPAにサニーさん。対バンの面子も何やら凄そうで、しかも
チケットは完売。何かが起きそうでずっとワクワクしてた。今年初となるサニーさんとのセッションって事で、リハもいつも以上に入念に。本番、
いつもより早めに箱に行くとNECO眠るが演奏中。ただもんじゃねえ。オリジナルってこういう事を言うんだね。無論聴かせられっぱなしってワケに
はいかねえって事で俺等の出番。この日のオーディエンス、マジで壮絶。完全奇跡空間だった。何度も夜を重ねてきて、俺等と神戸も遂に極まった!
気付けば2時間。最後は名残惜しさが箱全体に、ステージに充満してた。言葉に形容する事が困難な位、輝ける夜だった。ありがとうございました。

翌日は仙台へ飛ぶ。前日の打ち上げも楽しかった。皆、良い人達だった。仙台も秋のツアー以来。荒吐ロックフェスティバル。今年のフェス第1弾。
面子も超豪華。燃えるぜー。しかし雨、相当降ってる。大丈夫か?色々聞く話では、その日、初日はとんでもないサバイバルな事になってたらしい。
その日はオフだったんで、まずは牛タン喰って、パンゲアへ。偶然、インナーサイエンス、AK47がDJで来てて、更に沼澤さんが来てたり、日本の
アンダーグラウンドの1つのサミットがそこにはあった。行ってマジで良かった。素晴らしい空間だった。休むつもりがすっかり遊んでしまったぜ。

翌日、出番当日、天気は少しの晴れ間もあったがまだ小雨交じり。仙台駅から会場へ。まるで桃源郷のような景色の中を1時間、到着。話に聞いて
いた通り、会場全体が泥沼。しかも依然雨は降ってる。そんな中、ギリギリの夜を生き残り、なおも上がろうとしてるオーディエンスが!皆、凄い。
会場は花笠ステージ。ZAZEN BOYS、THA BLUE HERB、EGO-WRAPPIN'という強烈な並び。運や偶然で音楽を鳴らしているわけではない、本物の
音楽家に前後を挟まれ、自分等の音楽を鳴らせる喜びと責任がのしかかってくる。ステージ裏に着くとZAZEN BOYSが大立ち回り。2年前のリキッド
共演時もハンパなかったが、今回もありえないコンビネーションで、人力で極上のブレイクを畳み掛ける。ったくレベルが高いぜ。降りしきる雨。
楽屋で待ってると向井君達が引き上げてくる。良い顔してた。次が俺等の出番。小さな楽屋内、たった今、自信と実力と努力の結果を出し尽くした
ZAZEN BOYSとこれから最前線に出ていく俺等。良い緊張感。で、出番。一瞬の40分。一気に駆け抜けた。初めてのアラバキ、音楽はさ、いまさら
ジャンルじゃねえけど、この日HIP HOPの旗を掲げていたのは俺等だけだった。つまりは完全アウェイの空間。ここにはここのルールがあるんだ。
こういう場所では一気に突っ切るしか道はねえ。結果は、はっきり言って好きか嫌いかしかねえ。その間はいらねえ。あれだけの実力者が揃ってる
フェスで、記憶に残らねえってのが最も惨めな敗北だ。がむしゃらにラップしまくる。そして...40分後、最後に迎えたあの雷鳴のような拍手と歓声。
ありがとうございました。俺は眩しさが包み込むステージ上で、両手を上げて、それを浴びながら、ここに来て、出て、本当に良かったと思っていま
した。そして、今度は俺等が楽屋に戻る。静かにそしていつものように優しくよっちゃんが迎えてくれた。久々!恐らく俺等は良い顔してたと思う。
次はEGO-WRAPPIN'の出番。小さな楽屋内、たった今、自信と実力と努力の結果を出し尽くした俺等と、これから最前線に出ていくEGO-WRAPPIN'。
良い緊張感。で、EGO-WRAPPIN'の出番。これが、また、と・ん・で・も・な・か・っ・た!ったくレベルが高いぜ。まじで高すぎだっつーの。神戸
での打ち上げでサニーさんが言ってた。「ステージの上はフェアだ。」って。まさに。理屈も能書きもギミックもビーフも通用しない。そんなもんに
時間を割いてる暇は全くない。誰も求めちゃいない。降りしきる雨。冷えと疲れを乗り越え集まってくれてるオーディエンスにはゴシップや小細工は
通用しねえ。等しく与えられた時間、自分等の音楽で勝負するしかない。その権利を与えられ、出演者は連れて来られてる。外したらもう次はない。
目の前で繰り広げられる、巨大な、EGO-WRAPPIN'と呼ばれる宇宙生命体のような音楽の塊に目を見張りながら、気付けば俺は俺に欠けているもの、
足りない部分をひたすら探していた。そんなに明白に、簡単に見つかるわけじゃなかったが(俺等には俺等にしか出来ない事がある)、そう思ってし
まう位、EGO-WRAPPIN'は素晴らしかった。こんな経験は、守られた、安全な場所から1歩も出て行かないで、傷つく事を恐れていては絶対に味わえ
ない。1歩先にある貴重な時間だ。知ってはいたが、事実、喜ばしいことに!まだまだやるべき事はあったのだ。凄い人はいたんだ!頑張るぞおお!

で、今は仙台空港のロビー。新千歳空港行きを待ってます。4月。相も変わらず、どの街、どの夜、どのライブ、得るものは多かった。感謝です。

記念すべき夜、記憶されるべき夜、忘れがたい夜、全て等しく、リアルタイムに流れていく、21世紀初頭、日本。
皆、まずは、健康で。
ILL-B