ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2014.04

4月。
暖かくなってきたね。桜が咲くのはまだ1ヶ月後だけどね。それでも冬の間中ずっと閉ざされていたアスファルトが顔を出してくるのはやっぱり上がるね。

オンラインショップにてTHA BLUE HERBとNEW ERAのコラボレーションキャップが再発売中です。例によって数は多くないです。よろしくお願いします。

5月2日の下北沢シェルターでの、演武15周年ライブ、前売りは売り切れております。ありがとう。当日券は若干数ですが発売する予定です。まだ間に合うよ。


以下、ライブレポートです。
ここで読んでくれてる人、皆、等しくありがたい人達です。ただ、これから語られる事は、全ては過去です。全て流れ去った後をこうして回想しているだけなの
です。生身の人間同士で会える事を俺は望みます。なぜならそこで、底で語られている言葉は、こうしたフォントではなく、血が通った言葉です。ここのような
空間に残る言葉ではないのです。あなたの記憶の中にのみ、残り得る言葉です。俺はそこで生きています。そこで言葉を、この文字ではなくて、生きた言葉を
発信しています。正直、増えていく一方ではない場面もあります。でも、増えていってる場面もあります。びっしり入ってくれた日もあれば、そうじゃない日も
あります。そこにいた人であれば全て知っている事です。誇張も遠慮もそこにはない。全てありのまま。何もそこでは隠す事が出来ない。俺等は精一杯生き、
結果を全てそこで観た人の心に委ねて、別れ、そして明日の次のステージに向かうのです。こんな御時世だし、俺等の力不足も多いにあるとも思うし、俺等の
道を一体何が司っているのかは解りません。とにかく、俺は、今も、ステージで皆を待ってます。だからといって、それぞれに色々あるのが人生。皆、忙しく
生きている事は誰でも変わらない事と思う。音楽は星の数だけあります。そして実際、中々行けない街もあります。だからこっちからは、無理にとは言わない
し、言えない。俺は、そんな中、来てくれた人の時間と身銭を無駄にしないように頑張るだけです。そうやってしか生きられない音楽というのがある。実際に
観てもらった方が話が早いぜってやつです。信じるか信じないかはあなた次第ってやつです。現在、俺等が生きているのはそんな時間と空間です。そんな3月。
今月も激戦続きだった。いつもの自分等のホームと呼べる場所はほとんどなく、ありがたく各地どこででも駆けつけて来てくれるいつもの皆、そしてその日が
初対面となる音楽家、そしてその人を目当てにやってきたお客、そういう人や状況、色んな趣味趣向が混在した空間を与えられて、ある意味、高いハードルを
どう楽しむかという夜が多かった気がします。そこでどうアプローチしていくか、これはライブをやっていく上での永遠のテーマの1つと言えます。ま、でも、
そうはいっても出来る事は限られてるしって感じで、開き直りの強さもまた大切でして、そのバランスだね。圧勝でなくても、仮に勝てなくても、負けないと
いう感覚。傷深くても何とか引き分けには持ち込むという感覚。何というかアルバムをリリースした直後と違う類いのライブを生きていく日常で、学んでます。

釧路。6年ぶりだってね。最近は道東だともっぱら北見に行く事が多くなってたね。昔は釧路、よく行った。とてつもなく景気が良かった頃も覚えてる。店が
傾くくらい盛況だった夜。あれから時間は経った。はぐれていった仲間や、あの街を離れた仲間も多い。感慨深い。俺等、この6年分の成長を見せるつもりで
行ったんだ。冬の底、でも魚は旨く、ザンギも熱く、良い感じで俺は暖まった。箱はいつものGREEN。オープニングライブは俺等だった箱だ。着くとお客、
たくさんいた!しかも良い感じで上がってる。さあ行くか!6年ぶりにぶっかまそう。やってみて思ったけど、6年経ったとしても釧路は相変わらず熱かった。
脈々と続いてきた夜達を垣間見た。何も終わっちゃいない。むしろ色んな事が、それこそ6年前にはなかった事が始まっている。とても創造的な空気があった。
俺等の後のDJも極上に良かった。層が厚い。源太の画も完成!ばっちり。皆の楽しみたい気持ちが開花した夜。ありがとうございました。よしとも、お疲れ!

福島。ここは10年ぶり。しかも3年目の週末。普段通りにやるとは思っていても、新聞やテレビや雑誌やこの国の雰囲気がどうしても重いものになっていた。
そうだよ、まだ3年しか経ってないもんな。そうあるべきだ。俺等だってそこを狙って、メッセージを撃ち込むつもりでこの日に福島でのライブを決めたんだ。
同時に俺自身も色んな事を学びたいって気持ちだった。箱は10年前と同じNEO。いつものようにDYEとナオミと俺でリハーサル。からの飯。福島の仲間が
続々集まってくる。皆、自己紹介もそこそこに、すぐに核心を話し出す。そこに想いを感じ取っていたよ。溢れ出る想いを。皆、地元をどうやって再建して、
どうやって生きていくか、それをそれぞれがそれぞれの意見で論じていた。俺はさ、はっきり言って聞くしか出来なかったよ。自分から何か言葉を発する事は
出来なかった。今は聞くべき時だ、と。これほどまでに自分の地元の未来について前向きなヴィジョンを語る街、俺、今までの経験ではこの街の仲間が余裕で
突き抜けてる。覚醒していると言っても良い。きっかけはあの一件があったから、あの忌まわしい災いがあったからというのが、本当に皮肉だ。でもね、俺、
そこで感じたんだけど、そこにいた皆はね、起こってしまった事については責めたり怒ったりってノリではなかったんだよ。そんな負の感情に支配されずに、
もっと先の未来を見据えていたんだ。俺にはそこが1番驚きだった。何て気高い人達なんだ。文字通り降ってきた絶望から、おそらく、確実に、多くの思考
錯誤を何度も何度もこの3年間繰り返して、傷だらけでそこの境地にまで到達していたんだ。だからこそ!そういう人達のそういう気持ちに乗じてちゃんとケア
しようとしねえ、誠意を持って向き合おうとしねえ、全ての当事者の非礼にはほとほと腹が立つけどね。でも、本当、そんな話は出なかった。前向きな時間が
もったいないと言わんばかりに。本物の漢達に会ってきたよ。で、ライブ。たっぷり話は聞いた。今度は俺が話す番。皆も今度は聴く番だと解ってくれてる。
昨年のいわきもそうだったけど、とにかく上がった。皆で上がったよ。最高に楽しかったぜ。皆のエネルギーのおかげで、悲しい話では終わらなかった。完全
到達した。あんなに行けたの久々だ。ありがとうございました。ナオ、有太、学君、カズ、仲間の皆、何かが始まったと思ってます。あの夜の続きは絶対に
ある。皆の事を、考えを、俺は今回深く学べて、10年もの時が開いたけれど、本当に行って良かったと思っています。また会う日まで、どうかお元気で!

石巻。昨年の2年目の週末以来、きっちり1年。あの日と同じような日中の陽気、そして月の形。2年前と箱も同じ。ワンマン、これも同じ。でもね、俺等は、
違いを見せたかったし、見たかったし、感じてほしかったし、感じたかったんだ。そのために、あえて全て同じシチュエーションを用意したようなものだよ。
全ては動いている。前向きか後向きかの違いこそあれ、万物は同じ場所に留まる事はない。絶望や悲しみすらも。まだ3年。もう3年。さあライブを始めよう。
昨年のライブを収めたDVDやPVの画面の中での事が現実で起こっているという不思議な感覚の中、言葉は深く浸透していった。1年前の初対面の時とはもう
違う。あの夜を超えたからこその境地まで行けた。こっちはそう思ってます。大切な3年目の週末を我々に預けてくれた皆、本当に意味深い2時間でした。涙を
こらえて「PRAYERS」を鳴らさせてもらいました。ありがとうございました。石巻の健闘と発展を、皆の人生の充実を今も祈ってます。たかお、お疲れさん!

東北東海岸、5月30日に大船渡、6月1日に宮古でのライブが決定してます!

東京。今年初。舞台は渋谷O-EAST。しかも対バンはこの日初の対面となるアルカラ、八十八ヶ所巡礼。この、恐れを知らない、膨張の只中にある若手の2組。
いつの間にかこういうブッキングが多くなった。俺等より年上で、キャリアも実績も格上の人等とは最近は出会わなくなったね。それが何を意味するかとかは
考えない。現実は動かせない。こういう対バンの方がヤマは高い。俺等より純粋に年の分、成長の余白に祝福された彼等と闘う方が道は険しい。そして俺等は
それを望んでもいる。意味、解るかな?俺も少しずつ解ってきたよ。当日は、3組の連れてきたお客さんが3分割された様相に見えたな。どの陣営にとっても
ホームではなかった。フェアな一夜だった。消耗も激しかったが、与えられた40分、40分で出来る事は全てやったよ。ありがとうございました。あの続きは
シェルターで。終わってから、アルカラ、八十八ヶ所巡礼の皆と色々話した。勉強になる話もあり、爆笑あり。良い夜でした。高松さん、お疲れさまでした。

長野。1年ぶりの帰還。前回はライブハウスで、早い時間、短いライブだったので、とことんやれるこの日を楽しみにしてた。俺等の真価を知ってもらうんだ。
着くと雨。まだこの辺は寒いね。SOUNDSCAPEへ。3月で閉店してしまうこのお店、最後に間に合って良かった。思えばこの夜が1番ホームっぽかったね。
深夜のクラブ、前後もヒップホップが基礎となっていた。だからなのか。1時間45分、雑念に惑わされる事なく、体力的にもスイスイと出来た。不思議だった。
フロアーのノリ自体ヒップホップへの造詣や理解があるお客が多くて、それらを説明したり、知ってもらうのに表現を調整する必要がなかった。これは最近の
俺等にとっては大きな解放だった。ヒップホップIQと時に呼ばれるそれらは、知らない人にとっては何の価値もないものかもしれない。でも、俺等はいつでも
そこにこだわってきたからね。それが伝えたい全てではないけど、そういうライブはやっぱり楽しい。ありがとうございました。藤沢君、お疲れさまでした。

富山。ここも濃かった。ちょっと自分の中での大きなカルチャーショックでした。越中、立山連峰の麓に広がる福野という地。ここに息づいてきた、継承され
てきた、おそらく1000年を超える文化の連なりというものに触れられた3日間でした。それは建築、食事、お酒、彫刻、画、祭り、祭りの山車、水を張る前の
田んぼ、方言、寺、月、遠方からの客の迎え方やユーモア、所作の至る所に現れてました。北陸、凄いね。今更ながらです。でも、あのような、現在を完全に
生きている、史跡とか骨董ではなく、ちゃんと使用されている、フルに機能している文化というもの、日本で初めて俺は触れたのかもしれない。京都のそれとは
違う印象を受けた。土と生きる人と完全に合体しているその地の文化。TK君と俺等、そんな洗練を知る人々の前で、一生懸命表現してきた。招いてくれて、
聴いてくれて、受け入れてくれて、本当にありがとうございました。また旅で行きたいな。堀内さん、ニコラ、館長、携わっていた皆さん、お疲れさまでした。


O.N.Oのソロアルバムが久々TBHRから出ます。詳しくは来月。

4月。冬があったから、寒さがあったから、陰があったからこその、この輝ける陽の季節。楽しもう。

ILL-B