ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2017.01

あけましておめでとうございます。
2016年はライブ三昧の年になりました。全60本。各地で力を貸してくれた皆さん、そして集まって見届けてくれた皆さん、本当にありがとう!「ラッパーの
一分」も延期になったけど、無事発売出来た。その時は結構凹んだけど、良いモノを創れば、年末には笑っていられる、と思っていたんだ。結果オーライ!


さあ2017年が始まります!

今年は我々THA BLUE HERB20周年の年なのです!1997年にまだ誰も目を向けていなかった北海道札幌から発信を開始して以来、年月の積み重なりが遂に
20年になりました。その間、そして今も変わらず地元札幌に俺等は根を張っております。やってきた事と言えば、音楽を創って発売して、全国47都道府県に
実際に体を運び鳴らす事。そしてそれを毎月1日にこの場でレポートする事。間に旅を挟みながら、それだけをずっと続けてきました。振り返るには余りにも
色々ありましたが、まずはこうしてここまで辿り着けた事に感謝です。言うても20年です。20年前とは時代も、世相も、そして俺自身も随分変わりました。
これは俺等がずっと言い続けてきた、ある意味俺等の活動のテーマとも言えるのですが、この変わったものと変わらないもの、この両者の間の20年でした。
思い返すと色々な局面があった。数えきれない決断の場面があった。出会っては別れの歳月だった。今生の別れもあった。北海道札幌から、自分達が音楽を
鳴らせる場をまずは日本の中で作る事が何より必要だった時期は、そう、1997年から2000年頃は、まだインターネットが浸透する前の時代だったからね。
札幌に居ながらにして、どこででも、どことでも繋がれるという、今となっては普通の事が、あの頃は何と言うか、レコード会社に所属しないで、日本中に
存在を知ってもらう上で、奇跡とも呼べる追い風だったね。結果的にそれはとても有効に働いた。懐かしいね。このWeb自体もヒット数が100行っただけで
喜んでた時もあったからね。ウエイターの月給に借金重ねて創ったレコードを全国のお店や雑誌やDJに送ってね、でも、良い返事もなくてさ、困窮を極める
生活の中、強気な事ばかり言ってたけど、内心やっぱりダメかなって思ったりもしてた。何も持っていなく、何とも繋がっていなく、何にも所属していない、
書き留めた言葉と頭の中のイメージと負けん気だけだったあの頃を思うとね、こうして20年後の2017年にも、他人様には雇われず、自分の意見を発表する
場があって、あちこちでライブも出来てて、リリースを待ってる音源もあるなんて、マジで夢みたいな未来です。ありがとうございます。出会ってきた人達の
理解の、色々手を貸してくれた人達の親切の賜物です。30年、40年、その先に既に辿り着いてる諸先輩方を思うと、お恥ずかしい限りですが、この20周年、
とても感慨深いものがあります。せっかくだから派手に楽しみたい、と思っております。ここでしか見えない景色を書き留めたいとも思っています。加えて
この年にしか出来ない事、創れない物を残しておこうと思っています。で、まずはこの記念すべき20周年を始めるにあたってカレンダーを創ってみました。
年末のWWW Xでのワンマンでは来場者全員にプレゼントしてましたが、こちらから無料でダウンロード出来ます。プリントするなり好きに使ってください。

そのカレンダーをよ〜く見るとですね、10月29日に印が付いているのです。そうです。この日に何かが起きるのです。それは何か!では言っちゃいますよ〜!

10月29日に東京日比谷野外音楽堂でTHA BLUE HERBの20周年ライブを開催します!チケットの発売開始は先ですが、日程だけは空けておいてください!


今月は新曲が2曲出ます!
まず1曲目。これは元旦発売です。B.I.G. JOE × dj hondaの楽曲「STILL」に参加しました。俺自身、hondaさんのビート上でラップするのは初めての事で、
hondaさんが札幌に戻ってから、色々なラッパーと曲を創るのを聴いていたし、B.I.G. JOEとのアルバムも究極に格好良かったし、なので、俺としても是非
一緒にやってみたいとずっと思っていました。誘ってくれたJOEには感謝しかありません。いぶし銀と言う他ない、ハードな曲に仕上がってます。この季節に
北からリリースするにはばっちり過ぎな厳寒SHIT。鬼渋いビート、ラフでタフなラップ。媚びない3人のガチのせめぎ合いが聴けます。iTunesで発売中です。

もう1曲。こちらは去年から言ってましたOLEDICKFOGGYというバンドと創った曲です。タイトルは「弾丸さえあれば」。こちらはCD。1曲勝負。1月25日
発売。既に年末の京都のツーマンライブで披露してます。久々のバンドとの競作って事で、初期衝動全開のメッセージも含め、俺自身もちょっと今まで聴いた
事がない、ぶっちぎりに規格外な曲になっちゃってます。こちらも負けず劣らずとてもハードです。完全に言い切ってます。俺の中にあるこういう押しまくる
ノリが引き出されたのはOLEDICKFOGGYの演奏の力強さのおかげです。OLEDICKFOGGYとの出会い、この曲に至るまでの過程などはこちらの対談から。


ここからは年末のツアーレポートを。

水戸。4年ぶり。長い伝統を誇るヒップホップタウンに帰ってきた。毎回呼んでもらっていたBUBBLEではなく、今回は初めて行く箱、MURZ。翌日の筑波も
あるので、茨城ツアーだ。茨城空港からシュンとシンイチのナビで一路水戸へ。着く頃にはすでに真っ暗でした。2ヶ月ライブをやっていなかったので、PAの
ナオミとも久々の対面。セットを年末に向けて大幅に変えてきているのでリハを入念に。外に出ると車を横付けして仲間のケバブ屋が出店していた。見ると
全国3位と書いてある。よし!食べよう。これが美味かった。上がったぜ。ライブはDMCの日本チャンプDJ SHOTAやBOBOやGRIFFINとか大勢が自分の腕を
見せに来ていた。皆、熱かった。流石は水戸だ。俺等も気合い入ったよ。外は激寒だったがステージ最前線はいつもの通りでした。ありがとうございました。
こちらも年末ツアー初日だったので、手探り感もあったけど、水戸の皆の手荒な煽りのおかげで最後まで誇り高く進んでいけました。シンイチ、ありがとう!

筑波。2年半ぶり。前回は初上陸にも関わらず、最高なライブになった記憶がある。舞台は再びOctBaSS。細部にまで気持ちが行き届いた手作りの箱だった。
ばっちりっしょ。しかも今夜はO.N.Oもライブと、アフターパーティーのDJで来てる。TBH3枚揃ってのリハはワイワイ楽しかった。リハ終わって外に出ると
既に開店を待っているお客が沢山いて、こっちもスイッチが入ったよ。チケットはソールドアウト。みっちり入ったダンスフロアにO.N.Oがイカレたビートを
投入しまくる。徐々に熱量が上がっていった。終わって俺とDYEが出て行った時にはばっちり暖まってたね。さあ始めよう。そこから接近戦を100分。始終、
お客の集中力が高かった。やっぱり良いね、筑波。前回の到達点は軽々と越えていった。ツアー2日目で既に極まった感があった。ありがとうございました。
お楽しみのアフターパーティーもO.N.O、DYEのDJをゆっくり聴けるのも久々だったし、あちこちからの仲間との会話も楽しかった。シュン、ありがとう!

広島。きっちり1年ぶり。今回は市内屈指の良箱、クラブクアトロの15周年に呼んでもらった。しかも対バンはクラムボン!間違いない夜になるぜ。最後には
あの曲もやる。緊張感よりもワクワクの方が断然大きかった。リハで久々にクラムボンと対面。いつかの東北のフェス以来。まずは挨拶もそこそこに「あかり
from HERE」を鳴らしてみる。ばっちり!いつどこでやっても、何よりもやってる4人ががっつり昂る曲。本番は俺等から。音も照明も申し分なく、1時間が
あっという間に過ぎていった。初めて観る人もこっちから見ると沢山いる感じだったけど、皆、最後までそこにいてくれた。ありがとうございました。からの
クラムボン。俺等とはまた違う、違うからこそ楽しめる。そして「あかり from HERE」。超上がったね!最後の最後にその夜1番突き抜けた。打ち上げでも
まだ皆が上がってたもん。美味しい鉄板焼と共に良い時間をいただきました。有馬さん、スタッフの皆さん、ありがとう。15周年おめでとうございました!

神戸。4月以来の帰還。前回のライブは2016年ベスト5に入る熱狂だった。あの続きを早くやりたかった。朝9時にクラムボンと一緒にバンで晴天の広島を
出発。一気に東へ。神戸も晴れ。舞台はHARBOR STUDIO。昔は上屋劇場という箱だった。ここでは数々のぶっ飛んだ夜を過ごしてきた。懐かしかったよ。
でも俺等と神戸の歴史はまだ続いている。しかもクラムボンとのツアー、今日が最後。前日の手応えは全員が持ち合わせている。この日も先攻は俺等。出て
いった時点で、沢山のお客が待っててくれてた。からの60分後、最高な景色の頂上に皆の気持ちはいた!ありがとうございました。そしてクラムボン。神戸の
お客との関係が暖かく、長い歴史を感じるライブだった。最後は「あかり from HERE」。もうね、完全に時間を超越していたね。あの曲を創って良かったと
改めて思ってました。ラリーさん、お世話になりました!きぬやでの神戸の仲間を交えた打ち上げも超楽しかった。クラムボン、ありがとう!また遊ぼうぜ!

京都。我等の第2の故郷。1999年以来、もう何度目の夜かは解らん。毎年2回は最低でも来てたけど、今年はこの12月で初。待ち焦がれていたぜ。しかもこの
夜はOLEDICKFOGGYとのツーマン。この企画が決まった8月から、俺とOLEDICKFOGGYと会場のMUSE側とで、絶対面白い夜にしよう、そのためには何を
すれば良いのかを考えてきたんだ。結果が俺とOLEDICKFOGGYで曲を創って、そこで初披露して、ソノシートも創って、それをお客にプレゼントしようって
事になった。会場、満員御礼。あとはやるだけだ。先攻は俺等。いつもの事だが、今年初って事もあって、愛する京都の皆との時間、味わいながら大切に心を
込めて1曲ずつ鳴らしました。ありがとうございました。後攻、OLEDICKFOGGY。こちらも爆発してたね。会場が沸点に達してから、満を持して、コラボ曲
「弾丸さえあれば」。1回やって、どうせならって事でもう1回!ドカーンと行っちゃいましたね。最初から最後まで楽し過ぎな夜だった。行貞、ありがとう!

岡山。4回目。ずっと帰ってきたいと思ってた。この街にはとても好きな箱とそこに携わってる仲間がいて、彼等と知り合ってから岡山に来る機会が増えて、
しかも毎回熱い夜を過ごさせてもらってきた。その箱、YEBISU YA PROは移転を終え、新店舗になっていた。入るととても広く、音も照明も超パワーアップ
してた。よっしゃー!上がるぜ。リハもきっちり終え、岡山と言えばの焼肉大幸。今回も極上をゴチでした。箱に戻るともう既に熱い事になっている。地元の
ラッパー勢とお客が煽り煽られで、後は俺等も前に出るだけな状況でした。で、出た瞬間からずっと最後まで上がり続けたね。いつもだけど、岡山のお客の
エネルギーにこっちも導かれながら、頂上に行けました。ありがとうございました。終演後は岡山の仲間とワイワイ呑んで話してって遊んでたら既に朝。この
日は帰りのフライトが朝8時だったんで、そのまま空港へ。最後まで爆笑の旅、短い時間でしたが楽しんだぜ〜。丹正、キャプテン、LEESOK、ありがとう!

和歌山。4年前の同じ日に来て以来。この偶然には上がったね。初めて来たのは2003年。クラナカやREBEL FAMILIAとのツアーだった。その日以来、いつも
この街での舞台はCLUB GATE。長い時間が経った。でもあの古くも味のある街並はいつものままだ。雨も似合うな。本番。今夜はこの12月のツアーでやって
きたセットからまた大幅に変えたんだ。だから上手くやるっていうよりも、俺等も俺等で結構必死だった。でも和歌山の皆がずっと集中力を絶やさずこっちを
見つめ続けてくれていた。初めて観る人も、13年前に来てくれていた人も、あの場に生き合わせた皆のおかげで誇り高く最後まで辿り着けました。ありがとう
ございました。12月だってのにパンツまで汗だくでした。俺等の後はリハの段階から、楽しみにしていたガルウイングス。やっぱりね、地元の音楽家が最後に
締めるのが良いね。そんな夜の終わり方が好きだ。爆音に包まれながら、和歌山の夜、それもいつもの夜を垣間見ながら呑んでました。中谷君、ありがとう!

起きて、NY STORAGE寄って、まるイでラーメン食べて大阪へ。この日は自身初となるトークライブ。予定では札幌からSLANGのKOちゃんを招いて、色々
話を聞くっていう感じだったんだけど、まさかの札幌大雪でKOちゃんが来れず、急遽俺がTHA BLUE HERBの20年間を語り尽くす、という企画に変更しての
開催になりました。古くからの大阪の仲間のジンに司会をやってもらって、黒霧島ロックをチビチビやりながら、約3時間、一気に20年間を振り返りました。
年末の忙しい中、足を運んでいただき、話を聞いていただき、ありがとうございました。また機会を見つけてやれたらいいね。松井君、ジン、ありがとう!

名古屋。今年も東海地方にはあちこちから呼んでもらった。2016年のライブも残す所2本。最後の東京ワンマンに向けて、ここは落とせない大事なヤマだ。
舞台は既にホームの感もある、JB'S。競演は名古屋の強者達がうじゃうじゃ。しかも巷はクリスマスイブ。開店から行列が出来てる盛況ぶり。完全に祭です。
出番は深夜。その前の呂布カルマ、刃頭を観れて聴けたんだけど、両者がっちりロックしてました。俺も燃えました。本番。熱気が半端なかったね。ステージ
最前線は過酷を極めていましたが、ここまで上げてもらって日和っちまうワケにはいかねえ。名古屋のラッパーも沢山観てる。100分、ただただ気合いで乗り
切りました。ツアーセミファイナル、名古屋で良かった。おかげ様でまた鍛えられました。ありがとうございました。ライブ後もMASAのDJを聴きながら、
呂布カルマやYUKSTA-ILL、刃頭やUJI、集まった仲間達と乾杯を重ねた。ずっと続けばなぁって思う夜でした。アベちゃん、ワッシー、和尚、ありがとう!

東京。2016年60本目、最後のライブ。もう何年もその年の締めのライブは東京でやっている。最近はリキッドルームが続いてたから、今年は心機一転で渋谷の
WWW Xでの開催。久々のワンマンって事で、この秋からずっと狙いを定めていた。いつも来てくれているお客も、「ラッパーの一分」を観てくるお客も、皆
総じて満足させるには、というセットを考え抜いてきた。やるべき事はやった。チケットも前売りソールドアウト。さあ始めよう。初めての箱って事で、どう
なるかと思っていたけど、開けてみればいつもの東京ライブ。アットホーム感すら漂う調和がありました。騒ぐお客もいつつも、皆、真剣に俺等の音と言葉に
向かい合っている。これだよこれ。この熱意こそが俺等を進化させ続けてきたんだ。1曲づつ終わっていく寂しさすらも感じながらセットは続く。今回は全て
俺独りでやり切ろうと思っていたが、1人だけゲストを招いていた。その漢の名はYOU THE ROCK★。そう、ちょうど1年前にも来てもらっていた。そこで
何が起きたかは「ラッパーの一分」に映っている。多くは言わん。ここにいる理由ははっきりしてる。お客も皆がその理由を理解している。あれから俺等は
また1つ年を重ねた。「45 YEARS OLD」。去年と同じ時期、同じ時間帯、同じ構図。でも違いはある。乗り越えていくんだ。その先で待っていた光景は最幸
だった!打ち勝ったYOU THE ROCK★。沢山の教えがそこにはあった。このまま一気に登り詰めよう。計150分。始まった段階で俺等は辿り着いてはいた
けれど、そこから長い道を辿って遂に頂上を征服した。ありがとうございました。あの場でも言ったが、俺は持ち寄った言葉を全て使い切ったよ。ここから
先は言葉にならない。今年も東京では6回ライブをやってきた。いつも、どこででも駆けつけてくれてありがとう。最後の最後に最高の景色をありがとう!


年始早々、長文になりましたね。読んでくれてありがとう。皆にとっても良い年になりますように!
20周年、今年もよろしくお願いします!

ILL-B