MESSAGE FROM BOSS
2008.7.1(#3)
こっからは恒例のツアーレポート。長いよ。文字が溢れ出てくる。ま、ゆっくり読んでくれ。
ASIAN DUB FOUNDATIONとのツアー。最高の体験でした。名古屋、大阪、東京と回ってきた。初日、名古屋、箱に着くともうADFのメンバーがリハやってました。
2000年に札幌で対バンして以来、かなり久々。メンバーもずいぶん変わっていたらしく、札幌で、俺等の楽屋にいきなり入ってきて、「ヨー、お前ら最高だったぜ。
お前らのTーシャツくれよ。」と言ってきた、イカしたMCの男、ディーダーはいなかった。はっきり言ってお互いプロだから、ましてや遊びに来てるわけでもねえしって感じで、最初は人見知りヴァイブが両者を隔てていた。OK。いいよ。問題ない。俺等は俺等の仕事をするまで。向こうも同じ。ぶちかましてやるよ、なんて思ってた。
箱はクアトロ、去年のリリースツアー以来。第1ラウンドスタート。先攻は俺等。無論、勝ち負けじゃあねえが、はっきり言って、今回はアウェイ。ADFのファンがほとんどだと思っていたし、俺等が失うものは何もないと思って挑んだ。ADFのみを目当てのお客の好奇の視線をバチバチ感じながらたった二人でステージに出て行く。
何故なら、それでも、それでも俺等にも伝えたい事はあったんだ。俺等の背中を押してくれる熱いサポーターの力を得ながらの50分。最後の拍手とフロアーの景色はそりゃあ美しかったぜ。俺も角がすっかり落ちて皆に素直に感謝を言えた。本当にありがとうございました。ダイとステージを降りて、楽屋に戻る途中、出番を控えるADFのメンバーが皆で迎えてくれた。実質ここが初の握手、会話だった。皆、超マジな顔してた。握手も力強かったし、熱い事を言ってくれた。そうか、良い感じでバトンを渡せたんだ、と思った。安堵した。なぜならそれが今回の俺等の任務だったから。そして後攻、メインアクトADF。楽屋で皆で輪になって、テンションを上げて、一人ずつステージに出て行く。怒号に似たお客の叫び。ライブは俺が思っていた以上の上げっぷり。お客も上がりっ放し。まさに静と動って事だ。OK。先が見えてきたぜ。ばっちりだ。残りは2ラウンド。
クアトロを出て、ダイとうどん喰って、打ち上げへ。かなーりの大所帯でワイワイ飲んだ。ADFチームはメンバー以外のPA、照明などの、サポートメンバーは全員をヨーロッパから連れてきてた。で、俺等のステージをサポートしてくれるのは、日本代表クラスの超凄腕の男達。ほとんどのフェスや、リキッドルームでのデカイ仕事の時は必ず誰かはそこにいる。俺等よりも早くそこにいて、完璧な舞台を用意してくれている。ステージ監督、PA、そして照明。経験も実力も最高強靭なドリームチームが俺等を支えてくれた。まじでありがたすぎる。だから音、ヴォーカル、エフェクト、そして照明をとことんまで追求する事が出来るってわけだ。タイムリミットは三日間。三日間でどこまで完璧に近づけるか。飲みながらも、すぐにマジな話になってしまうくらい、皆、本物中の、本物。程よい緊張感と開けっ広げなバカ話。旨い酒、最高。
昼過ぎに名古屋を出て、大阪へ。一夜明け、移動中もADFとの会話がだんだん増えてくる。メンバーが多いから、皆、それぞれがオモロい。落ち着いてるヤツもいれば、落ち着かないヤツもいて、ますますオモロい。実はローマに住んでたりフランスから来てる人もいたり、ヨーロッパは移動が早いし楽だから、日本の感覚とはずいぶん違う。会場は難波HATCH。結構昔1回やったことがある。中々デカイ。俺等のセットは3日通じて50分。お客は俺等の音楽をよく聴いてくれている人ばかりじゃない。
っていうかほとんどは俺等の名前すら聞いた事がない人達だ。なんせそこはアウェイ。しかし得る事は多い。地球は広いが世間は狭い。そこにあるのは色んなタイプの音楽。優劣は付ける事が出来ない。付けられたくもない。出来る事は限られている。俺等はこれでこの仕事を手に入れた。ADFしか俺は聴かねえよって言ってるやつらは相手にしてねえ。それでいい。ちょっと外に出て、タバコでも吸ってろ。悪いが捨て置く。俺等は、そこに俺等を向いて立っている、ただただ開かれたお客の心の存在を信じるしかねえ。ADFのみ目当てにしながらも、THA BLUE HERBとかいう日本人のHIP HOPグループの音楽への興味を、少しでも持ってきてくれているお客の心の存在を信じるしかねえ。そしてそこに向かって誠心誠意、日本語でラップするしかねえ。って言うかそれしかできねえ。そうなんだ。我々だって札幌からここに招かれて来ているのだ。だから誇り高くやるまで。この夜も与えられた貴重な時間を、大事に使わせてもらった。最後まで聴いてくれていた皆、本当にありがとうございました。出番後は、大阪、京都のいつもの友人達と話し、笑い、飲んだ。皆、来てくれて心強かったぜ。そしてADFもバンドの精度が確実に上がってきてる。ラスト1日。
終演後、何か喰いてえな、と1945A.K.A.クラナカ和尚と一緒に、一気に鶴橋オモニへ。まさかの2ヶ月連続。あーいかわらず揺るぎなし。激ウマ。
翌日は、オフ、東京へ移動。下北沢に皿掘りに行ったりしながら、のんびり過ごす。明日は泣いても笑っても最終ラウンド。高ぶる気持ちを抑え、早めに寝た。
前日の雨はあがり、ばっちり快晴。この2日間の修正点はダイとしっかり詰めた。体調も万全。何かが起きる予感がするぜ。箱は新木場スタジオコースト。初上陸。そこは前々から噂には聞いていたデカ箱。音も良し。PAさん、照明さんとの打ち合わせもばっちり。お互いの意思疎通もばっちり。いよいよ何かが起きる予感がするぜ。そしてその予感を信じて、中野からFESNクルーにも来てもらってた。カメラは3台。そしてカメラマンのSUSIEもスタンバイ完了。さあ、ダイ、時間だ。イントロをぶちかませ!
スローモーションのような場面、場面の移り変わり。50分、一度も気持ちが切れる事なく、俺は恐ろしく冷静だった。そしてスタジオコーストの音はデカく、クリアで、静寂はどこまでも無の静けさだった。俺には真正面に対峙しているお客の顔がよく見えた。上がる腕、叫び、拍手。1分、1曲、1小節を噛み締めて、感謝のセリフまで辿りついた。ここで流れてしまった時間を振り返り、あの完璧な雰囲気を文字で伝えれるのはここまでだ。これ以上は言う事なし。皆、本当にありがとうございました。
舞台は静から動へ。ADFの日本ツアー最後の大立ち回り。3000人のオーディエンスも熱狂で応える。俺は疲れと、酔いと、達成感と共に独りでステージを観ていた。
かのヨーロッパから遠く離れた極東で、ここまでお客に愛されているADF。マジで素晴らしい。こんな人等と回る事が出来て、マジで感謝だ。そして俺等も、俺等にしか出来ない音楽を既に手に入れ、表現していることを知った。お客に好きか嫌いかのどっちかしか求めてこなかった俺等にも、今、あれだけのお客が待っていてくれて、応えてくれている。この先もこの世の中に生きている人達、全員に認められる事は恐らくない。でも俺が認める。俺は、俺等は間違ってねえ。大丈夫だ。この道でいい。
楽屋口は、たった今、ライブを終えたADFと多くの関係者、友人達でごった返していた。ADFのメンバーも皆、いい顔してた。皆、達成感を手に入れていた。良かった。
さあ!打ち上げだ。明日の朝にはもうADFは皆ヨーロッパに帰ってしまうんだ。打ち上げだ、打ち上げだ!三日間、俺等のステージをサポートしてくれていた、いや、俺とダイという二人の生身の人間を奮い立たせ、音を出させ、照らしながら、THA BLUE HERBを演奏していた大山さん、サニーさん、平山さんとも、今日でひとまず飲み納め。これからまた色んな場所で出会う事はあったとしても、この三日間は本当に貴重だった。乾杯だ、乾杯だ!皆、席を移動したりしながら、本当に全開でご機嫌に飲みまくった。皆、ずーっと笑っていた。誰一人悔いはなし。騒げ、騒げの大宴会。英語でも、フランス語でも、日本語でも、全ては前向きな言葉ばかり聞こえていた。
楽しい時ってのはあっという間に過ぎて行く。打ち上げを終え、外で皆と最後の握手、ハグ。マジウルルン状態っすわ。また遊ぼうぜ。皆、こんな事を言っていたと思う。
ビートインクの皆さん、そして携わった全てのスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。そして!ASIAN DUB FOUNDATION!リスペクト!また遊ぼうぜ!
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