MESSAGE FROM BOSS
2008.9.2(#3)
そして8月末の大きな山場。東京は渋谷ASIAと札幌は手稲の山で行われたマジカルキャンプの2連戦。片や究極の都会ど真ん中。片や自然のど真ん中。行われる時間こそ同じ丑三つ時なんだけど、そこは、底は、風景も、空気感も、言う事も、はまる曲も、すべて正反対な場所。
しっかり2日分の、2種類のセットを、平日の時間を惜しみなく使って、何度も、何度も繰り返し練習してきた。どちらも落とせねえ大事な勝負。対バン相手も、どちらも凄腕揃い。そこで、結局はTHA BLUE HERBのライブしか印象に残ってねえってお客に翌日、つぶやかせるライブをするんだ。出来るかどうか、出来たかどうかは関係ない。好きか、嫌いか、良かったか、悪かったかの2種類しかない。その間はない。TBHRの他の仕事で俺もダイも、この数日は頭パンパンに忙しかったけど、準備だけはしっかりしてきた。あとはぶちかますだけ。
東京は夕方到着。飛行機の中から稲妻が見えていたから、もしやと思って地上に降り立つと、どっしゃ降り。これには参った。まずは恵比寿に行って、リキッドルームで秋からのツアーの各街のテレビ、ラジオのコメント収録。ASIAでのリハの時間が迫っているので、速攻やる。
10分で6本録って、足早に渋谷へ。今回は古くからの友人(もう古くからだね)KOINUというバンドの主宰するパーティー。その昔、新宿にリキッドがあった時代、1度そのパーティーには呼ばれていて、今回で2回目。共演者もほとんどがよく現場で顔をあわせる面々。
リラックスしてリハ。外はまだどしゃ降り。電車が止まったとか、お客の出足が心配だ。リハ終わって外に出ると、まだ降ってる。でも外には沢山のお客が待ってる!上がったぜ。皆よく来てくれた。気合いが入る。ライブは3時半スタート。3月以来の渋谷。あの日も、俺は言ったけど、マジで渋谷でのライブってなると緊張感が独特だ。ある意味、俺はずーっと渋谷を憎み、復讐するために、はるか離れた札幌で牙を研いでいた。それから長い時間を経て、東京のオーディエンスと、東京のMCと、音楽家と出会い、多くの友人を得て、今日に至る。
暖かみってヤツはいつも儚いが、本当に良い時間だった。シリアスで、ラフで、それでいてホームにいる感覚すら漂うあの雰囲気。最高だ。
皆、ありがとうございました。未来は思ってたよりもずっとずっと広かった。音楽やってきて、続けてきて、色んなエピソード、確執を経てそして文字通り数えきれないライブを経て、俺等と東京のオーディエンスはあの夜も特別な何かを分け合った。いつもの様に。そして、またいつもの様に別れた。皆、また遊べる日を楽しみにしています。あの場にいた全員の健康と健闘を祈る。そしてKOINUクルー!素晴らしい場所を俺等に与えてくれてありがとう。本当にあのまま、まだ飲んで、バカ話して、ふざけて、笑いあっていたかったよ。また遊ぼうぜ。
翌日、起きてカラッと晴れた渋谷を出発。昨日はライブ終わったのが朝5時、ラストのDJ QUIETSTORMの1時間で一気に上がって、飲み遊んだ。少ししゃべりすぎてノドが心配だ。しかし疲れてる。でも行くしかない。目指すは深夜2時半の手稲の山。遠い・・・。羽田空港で酸素バーに行って、飛行機で寝る。MJPのKENとI&Iが一緒だった。彼等は昨日池袋でライブ、で、今夜同じパーティーに出演する。お互いハードな日程だ。軽く空港で話して、彼等は出番が早いのでそのまま現場に向かって行った。俺等は1度帰宅。すぐ準備して、スタジオへ。
昨日とはセットが微妙に違うので、もう1度リハーサルをしてから現場の手稲の山へ。霧が半端なく、道の先が全然見えねえ。雨も心配だが頂上に着いてみれば、星が出てた。お!いいね。人も沢山いる。去年よりも規模もでかくなってて、音も良い!頑張ったな、てつや。
まだ本番まで時間があったんで会場をぶらつく。さすが愛する札幌。3メートルに一人は友達がいる。上がるねえ。2週間前のライジングと比べホーム感がかなりある。ライジングにいる札幌のオーディエンスも落とせないが、昔から、本当に昔から俺の事、THA BLUE HERBの事を見続けてきた彼等の前でのライブも全く同じく落とせない。あの、何もわかっちゃいなかった俺等が今、何を言っているか、そしてどんな音を鳴らしているか、何よりもオーディエンスとどんな時間を創りだし、共有しているのか、しっかり観て欲しかった。ライブは夜明け前、1日の中で一番暗い時間。余裕。そこで、底で魂を燃やして、その明るさで進むべき道を照らすんだ。 ダイとステージ裏、遂に辿り着いたゴールでスタートを静かに待つ。50分1本勝負。遠くまで埋め尽くすオーディエンス一人一人の顔がよく見えた。最後の最後、俺等の身には余る程の、あの拍手が鳴り響く光景は今も忘れられねえ。夜明けはまだ来ていなかったけれど、俺等には札幌の過去、現在、そして未来を含む、希望の輝きが目に焼き付けられた。そしてそれはまだ消えていない。皆、ありがとうございました。あの場でも言ったけれど、あの日のライブは、突然変異的にあの場に産まれたモノではない。長い時間、試行錯誤してきて、多くの過ちを犯し、学び、そして磨き上げられ、そしてオーディエンスによって育まれた、奇跡ではあるが偶然ではない、音楽の街、札幌の、必然の産物だ。そしてそれは今も進化してる、現在進行形の生き物だ。
ライジング、マジカルキャンプとやらせてもらって、次のライブ、9月のフィルモアで札幌でのライブは恐らくだが今年は最後だ。また遊ぼう。そしててつやと仲間達へ。素晴らしい空間だった。歴史は少しずつ、つまずいたり、遠回りしたりしながらも、確実に前へ進んでいる。同じ時代に生きあわせ、その場に共に立ち会えて光栄に思います。御苦労さんでした。誘ってくれてありがとう。
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