MESSAGE FROM BOSS

2010.11.2(#3)

翌日、沖縄へ飛ぶ。今年3回目の沖縄。舞台はPEACE MUSIC FESTA 2010。あの曲をやるためにやって来た。面と向かって鳴らす日が来た。あの曲を創ったことで沖縄との繋がりはより強くなった。そう今回はTHA BLUE HERBとしてではなくて、B.I.G. JOEとOLIVE OIL、そしてDJ DYEと俺で「MISSION POSSIBLE」というグループでのライブだ。場所はこの国の、この時代、数少ない最前線である沖縄、辺野古。
今が善と悪、暴力と非暴力、戦争と平和、簡単に2つで割り切れる事ができない世の中だってのは解ってる。内憂、外憂、様々な問題が時に理不尽さを伴ってこの国に押し寄せてきている。大変な時代が来るのかもって皆が感じ始めている。これまで防衛費そっちのけでアメリカが守ってくれるって信じて、散々繁栄を享受してきた以上は来るかもね。そんな歴史上1つの大きな転換点にきている日本、唯一の地上戦がほんの65年前に起こってしまった島、沖縄に俺等は歌いにやって来た。
そう、時代の向かい風の中、オバマ大統領も向かい風、タリバンに追い風の地球、出来る事ならまだある。そう歌いに来たんだ。辺野古には朝に到着。今回のイベントを立ち上げ、動かし、仕切ってくれていた竜海と久々の対面。色々世話してくれたキムとも。この2人とは「MISSION POSSIBLE」のPV撮影の時、全て終えてフレックスでジャークチキンを食べながら色々懇談した仲。あの時点でこのプロジェクトの意味を十分に理解してくれていた2人だ。事実今回の参加はその時に既に誘われていた。この流れは必然だった。JOEと一緒に来ていたギターのコウダイとも合流。まずはリハ。完了。大丈夫。で、そば喰って宿へ。
そこでJOEとも合流。それから本番までは各自のんびり過ごした。しかし迫ってくるのが時間ってやつ。徐々に緊張感と高揚感が皆に漂う。
皆で念入りに流れを確認。イメージでは完璧だ。後はあの場、そうアメリカとの国境、辺野古の皆に想いが伝わると信じて前に出て行くだけ。

会場入り。OLIVE OIL、POPY OIL、OILWORKSクルーと合流、使命を果たす時間は刻々と近づいてくる。ステージは無人。お客が集まる。
さあ始めよう。まずはOLIVE OILのDJ。初っ端から「独りじゃない!」アカペラから「MISSION POSSIBLE」インスト。爆音が響いていた。
最初の歓声が上がる。そしてコウダイがギターを鳴らし、B.I.G. JOEの登場。先日の札幌でのライブでもかなりやられた「D.D.D.」から始め
「HERE I AM/WHERE YOU AT?」まで4曲キック。感慨深さに浸るのはまだ先。終わってからだ。JOEが俺とDYEを呼ぶ。お客も呼んでる。
「時は来たぜ。皆集まれ!」で、遂に始まった。始まっちまった。「MISSION POSSIBLE」。ステージ正面は辺野古の海。左には米軍の陣地。隔てる針金のフェンス。ほんの4分半のために、これまでの膨大な時間があった。ゴールデンウィーク、あの天神で目の前からJOEが歩いてきて、そのまま屋台行って、乾杯して。そこからBASEのカウンターでOLIVE達を交え、思いがけず話は加速し、全ては始まったんだ。期間にして約5ヶ月。一気にここ辺野古まで走ってきた。左側を向き、右手を無言で2人で掲げた。波の音と三線の音が聴こえた。ミッション完了!

そこからもう1つのミッションを終わらせる20分。THA BLUE HERB、PHASE 3最後の最後のライブ。ステージでOLIVEとJOEと別れて、いつものDYEと2人に戻る。ずっと2人で走ってきた。言葉に尽くせない数の場面場面があった。それも終わる。終わらせるために始めよう。
「ILL-BEATNIK」「BROTHER」「THE WAY HOPE GOES」「未来は俺等の手の中」。PHASE 3、THA BLUE HERBのライブも全て完了!

最後は皆で、JOE、OLIVE、POPY、コウダイ、DYEと俺の皆で、ステージに並んで辺野古の海、米軍陣地、お客に挨拶。で、舞台を降りる。

一夜明けて、あの透明な音楽が作用して、目に映る形で何かが変わったってことはないと思う。けれど、俺等はやったぜ。使命はやり遂げた。

七尾旅人を聴きながら、波打ち際でしばらく1人で座ってた。これまでの道のりを少しだけ振り返っていた。今思えば究極良い時間だったな。飲んでたコロナがなくなったんで次の酒をもらいに会場に戻る。泡盛に持ち替え、友達から友達へと渡り歩く。お!PV撮影でお世話になったリチャードさん、ヨコザワ君、バイト、ケイスケだ。皆、笑顔。最高すぎる仲間だ。三宅洋平も見つけた!わはは!話し込む。最高すぎる時。

そして、ステージには、ソウルフラワーユニオン。

遂に出た。偉大なる兄貴、姉貴。このために全てはあったっていう特別な雰囲気が満ちていた。俺にも解った。彼等、彼女等を皆待っていた。
いつかのライブ、無論それがいつ、どこだったかは一生忘れるわけないが、あえてここでは言わない。とにかく、俺は1度、自分の出番の前にこの怪物バンド、ソウルフラワーユニオンをがっつり観てしまい、そのあまりの衝撃にやられまくってしまい、本番直前だってのにわざわざ、よせばいいのに、自分の無力さに立ち返ってしまい、ライブはやるにはやったが、お客とも良いエンディングを迎えるには迎えたが、俺自身はそのショックが強くて、あのバンドの凄さにしばらくの間、立ち直れなかったことがあった。それくらいの、何つーか、MOST WANTEDなバンドっす。同じ衝撃を受けたバンドはこの国にはもう1ついる。そう、言わずと知れたタートルアイランドだ。
今回は(幸運にも)俺等が先にヤマを乗り越えていた。あの人達に比べると、まだまだ若い小さな達成感と、極上の酔いの中、観させていただいた。そして今夜もやはり素晴らしかった。嘘みたいな、嘘じゃねえか。嘘じゃねえが、それは夢みたいな光景だったね。沖縄の皆とリンクすると何百倍も、あの旋律や歌詞、リズムが躍動するね。そんな気はしてたけど、ったく半端じゃなかった。そして!俺も!解りきってる自分の無力さなんかにくよくよしちゃいなかった。あの場、辺野古で、ソウルフラワーユニオン聴いて、くよくよなんてしねえよ!汗と涙で、全快で楽しんだ。ひゃっほ〜!

その後の沖縄伝統舞踊、そしてトリのカチンバ(!!!)。最高のパーティーだった。参加できたこと、本当に誇りに思う。ここにいれたこと、ここで自分等の音楽鳴らせれたこと、来て良かった。皆、自分で来た。全くお金を挟まずに、想いだけで来た。こんな集まりがあったんだ。

スタッフの皆さん、ご苦労様でした。そして、ありがとうございました。

俺等の音楽を聴いてくれてありがとうございました。


TOUR REPORTでリキッドと沖縄の写真あります。

皆、龍馬伝って観てる?俺はこれまで1度も観てないんだけど、最後の龍馬を斬る役、誰か知ってる?偶然、ちょうど辺野古の帰りの車内で達也さんと電話で話した。これには驚いたね。熱い。俺もその回は観る!



健康で。

ILL-B



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