MESSAGE FROM BOSS

2013.3.1(#3)
以降、ツアーレポート。今回はMC道的な意味合いも込められてます。

埼玉。4年ぶりに浦和に帰ってきた。舞台は今年で19年目という本物の老舗、BASE。しかもこの日は色んなMC達との競演。楽しみでもあったが、同時に気合いもプレッシャーもビシビシと感じてた。今回色々仕切ってくれたTKda黒ぶち、DJ RINDの運転で羽田から一路北へ。北浦和のDISK UNIONに立ち寄る。
店内に入ると何と「STILLING,STILL DREAMING」がかかってた!ヤバっ。そのまま皿掘りながらひっさびさに通して聴いたよ。凄いね。最近色んなMCと知り合わせてもらって、音源もらったりしてるけど、そのほとんどがファーストアルバムなわけ。人生においての世間様への挨拶状なわけだ。で、皆、本当にスキルフルで、トピックの幅も広い。愛もあれば、狂気もトビもばっちりある。ファーストアルバムなだけに、世の中に認められない、認められたいっていう気持ちも重々伝わってはくる。痛い程に。でもね、いっつも何かが足りないなっていうか、たまたまね、俺にとってね、そう感じる時が多くて、それって一体何なんだろうって思っていたんだけど、あれ聴いて解ったよ。ススキノの三下のチンピラ上がりが偉そうな事なんて言えねえけど(ま、言ってるんだけど)、今から15年前にあのアルバムを実際に創り、そしてそれが今も残り、事実頭上でかかってるからさ、そこには少しの真理もあるんだと信じて言わせてもらう。
そこが北浦和だろうが、どこであろうが、皿掘ってる手を、思考を止めさせるそれ、強制的に1対1に引きずり込んでくるそれ、それってのは「殺気」。以上。

そのまま箱へ。久々だ。入ると沢山のB-BOY達が。いつものようにPAのナオミとDYEで音作り。で、マイクチェック。問題なし。飯、焼肉。ハードな夜になりそうなんでしっかり喰っとく。で、本番。90分1本勝負。もちろん俺も万能じゃない。与えられた限りある場所と時間。そこを用意してくれた皆の前でやるべき事に迷いはない。そこに、オーディエンスに、同業者に撃ち込むべきは、身の丈を上回る強がりでもハッタリでも大口でもない。そして輝ける天性の才能でもなく、コネや運でもなく、フリースタイルバトルのチャンピオンの称号でもない。それらを持っているMC達を差し置いて、何故、今も俺等が音楽を続けてられるのかの証。何故、飛行機に乗せてもらって、旨い焼肉を喰わせてもらって、お客が集まってくれるのかの理由。それらに他ならない。正々堂々とやらせてもらいました。皆、そこで聴いていてくれてありがとうございました。一仕事終え楽屋に戻る。すると沢山のMC達が自分のCDを持って訪ねてきてくれた。皆、礼を持って。こっちも礼で返す。あれには上がったね。そこには俺も知ってるフリースタイルバトルのチャンピオンも。ありがとう。光栄です。
そして皆、すぐに楽屋を出て行く。お手手繋いで仲良くとはいかねえが、それだけじゃない付き合い方ってのがヒップホップにはちゃんとあるんだ。まさに。
酒を呑み、やっと、浦和に来て初めてリラックスする。この夜はまだ終わっちゃいない。地元のMCのライブが残ってる。これを楽しみにしてた。いつもはさ、俺等の前に全部終わっちゃって、俺等がライブ終えると、地元のDJが着陸な感じで終わっていく。それもそれで悪くはない。ありがたい。でもやっぱ地元の音楽も感じたい。俺、自分のライブの前は一杯一杯でとても他のMCのライブを観るなんて出来ない。悪いなっていうか申し訳ないなって思ってもいる。
でもこればっかりはどうしようもねえ。親善試合しに来てるわけじゃねえから。だからこの夜は楽しみたいと思ってたんだ。DJ MICARFyのまじハンパじゃない!プレイで既に上がっちゃってた。TKda黒ぶちのフレッシュなライブも胸を打つものがあった。その日数時間しか一緒にいなかったが、あいつの人間味がそこにちゃんと出ていた。そして、崇勲。やっぱり、ちゃんといるとこにはいる。この街で、この界隈で、夜な夜な熟成されてきたヒップホップの片鱗を垣間見た。
そしてそれがばっちり本物だって事は札幌から来た俺にもすぐに解った。沢山の人の耳に届く事を祈ってる。祈りなど無駄だが、札幌に帰ってきた今もそう思ってる。いいもん魅せてもらいました。もう曲も止まって、明るくなってるのに、まだカウンター付近で大騒ぎしてる浦和の愛すべきB-BOY達。俺はその光景を過去に見た事があった。あの時代、1995年頃、札幌のGHETTOやAL'S BARで、東京っていう名の地方からやって来たラッパーを観た後、結局最後は残った地元のいつもの面子で、ああやって大騒ぎしながら、特に根拠はないが、いつか!必ずやって来ると信じる俺等の時代を、成功を、繁栄を、ド派手に前祝いしながら、俺も数えきれない朝を迎えていた。なんて事を思い出しながら1人宿に戻ったよ。TKda黒ぶち、埼玉ヒップホップ!最高な夜をありがとう!



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