INTERVIEW
BY YUKO ASANUMA

O.N.O
#1[第3幕の始まり]


第三幕の始まりと心境の変化

● 第三幕についていつから、どこから考え始めましたか?

3枚目のアルバムを作ろうってことで、曲は全部新しく作り始めたんだ。今まであったやつを持ってきたとかじゃなくてね。だから意図的に、今までとは違うやり方でやろうと思った。作り方の話になるんだけど、感情とか考え方とか、表現するのに…… (俺は)リリックじゃないわけじゃん?自分の思ってることとか感じたこととか表現しようとしたら、もうサンプリングじゃ出来ないっていうか。サンプリングの手法も、自分の中ではセカンド(『Sell Our Soul』)でやり尽くした感があったから、それと違う作り方をしたかったっていうのもあるし、その間に色んな音楽を聴いて、機材自体をもっといじることにも興味出てきた。「音」を作っていくっていうかさ。それで、自分で書いて弾くっていう風にシフトしていったんだよね。

● その変化には何かきっかけがあったんでしょうか?それとも、違うことをやろうという意識からでしょうか?

それもあったけど、もうセカンド以降から徐々に弾き始めてたのもあった。表現するのにさ、サンプリングって、「今の気持ちを伝えるためにサンプルを探す」って、ワケ分かんない作業じゃん(笑)?コラージュで作っていくっていうのもすごく好きなんだけど、それは自分で弾いたものに対しても出来るからさ。もともと、サンプリングに対する考え方が、他のサンプリング・ミュージック人とは多分違うと思う。素材としか思ってないっていうか。

● 確かに、普通は「これを表現したい」っていうことよりも、サンプルを聴いて、「こんな曲が作れるんじゃないかな?」ってイメージする人の方が多いんじゃないかと思いますね。

あ、そうだね。俺もそうだった。取ってきた素材の、加工の面白さだとか、素材自体の面白さとかの勝負にもなってくるわけじゃない?今回はそういう気持ちになれなかったっていうか、自分の考えてることとか…… 「自分」をもっと表現したかった。だから結局、弾いていくことになって。後は、俺の中でシンセブームがあったりとか、音源ブームがあったりとか(笑)。

● もともと機材とか好きなんですか?

うん、これは音楽とは別の話なんだけど、「機械」が多分好きなんだよね。だから逆に音楽的なものを拒絶してたっていうか、「楽器」として構えすぎてた。でも実際はシンセってそういうものじゃないからさ。触ってると段々面白くなってきて、鍵盤も普通に触れるようになった。

● 楽器をやった経験はあったんですか?

いや、俺何も出来ない。楽器は何も出来なかったんだけど…… これ、弾いてみるとね、なかなかその…… だから言わばね、ファースト・アルバムなわけですよ!今までの人生を、演奏で表現するわけじゃない?書いて、自分で組み立てて…… そういう作業という意味では本当、ファースト・アルバム的だよね。初期衝動満載っていうかね(笑)!だからすごい新鮮だったね。すごいスピードで曲も作れたし。何回も書き直したけど。リリックに合わせて変える場面もすごく多くなってくるんだよ、「このメロディーじゃないな」とか、「ここはフレーズ変えた方がいいな」とか。それってサンプリングじゃ無理だから!そういう楽曲的な作り方をしたかったんだよね。感情をもっと表現するとなると、音楽的になってくるんだ。




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