Extra:好きな音楽について
● O.N.O.さんは、クラブで聴くならどんな音楽が一番好きなんですか!?
テクノとかマシーンミュージック全般が好き。<Precious>はテクノのパーティに行くことが多いね。実はBOSSとは音楽の趣味が意外と違う(笑)。遊びに行くクラブは<Jade>だったり、<Precious>だったり、一緒なんだけど、行くイベントは実は全然違うんだよね!俺はもともとそんなに生楽器の音色に興味がない方だった。でも、今回BOSSに言われて使ってみたらそうでもなかった。多分ね、俺をよく知ってる人は「この夜だけは」とか、「TENDERLY」とかを、俺が弾いて作るっていうのはすごく意外だと思ったと思うよ。俺自身も意外だったけど、BOSSも俺にやらせてみたら…… 「いい!」みたいになってさ(笑)。「こいつ、こういうのもいい」って(笑)。
● O.N.O.さん一人だったら作らなかったかもしれない曲なわけですね?
うん、そうかもしれない。でも、今後はああいうのも出来るってことが分かったから作るかもしれない。今まではやろうとしなかったからさ。リリックと、BOSSが伝えてきたイメージがあったからこそ作れたってところが大きかったね。
● では、もともとブラック・ミュージックにはそれほど興味ないんですか?
うん、どっちかっていうとスティーブ・ライヒとか、ああいう方が興味あるね。でも俺の音楽のルーツって結局ヒップホップで、それ以前にはルーツがないんだよ。別に音楽少年だったって訳でもないし、バンドやってた訳でもないし、ヒップホップから音楽に入ってるからね。ソウルとかファンクとかを聴いていたこともないんだよね。別に冷めた目で見てるわけじゃないんだよ。好みの問題っていうか。それよりエレクトロとかの方が好きなんだよね。逆にすごくソウルフルな展開になってくると、ちょっと興ざめしちゃうところがあるんだよね。ハコで踊って楽しい音楽っていうのはまた違ったりするんだけどね。もっと原始的なものっていうかさ。俺さ、スポーツだめなのさ。あと、リズム感ゼロ。
● えええーっ!!!それ問題発言ですよ!!
うん、問題発言なんだけど(笑)。いや、ほんと運動だめなんだよね。体育オール2、みたいなさ。本当は1なんだけど、お情けで2になってるくらいのさ。だけどね、フロア行ったらさ、踊り出しちゃうんだよ。大袈裟かもしれないけど、それって何かDNAに訴えかけるものがあるんだと思う。火を囲んで輪になって踊ってた頃のさ(笑)!超楽しいよね、リズムを取って動くっていうのがさ。もしかしたら、俺がポリリズム作るの好きなのもそういうことが影響してるかもしれない。
● なるほど。BOSSとO.N.O.さんには微妙な好みの違いがあるってことが、初めてよく分かりました!
そう。そこだよね。それが合わさって、いいのが出来てくるんだよね!二人ともそうだったらさ、もっとこう…… バンドになっちゃってたりするかもしんないよ。前はよくギター入れたいとか、ハーモニカ入れたいとか言う話もあったんだけど、俺が全部それを否定してきたんだよね。俺は、ライヴ以外にそういうのはあり得ないと思ってたから。
● そうなんだ!いや〜、今日はかなり理解が深まりましたよ。
俺をよく知ってる人は知ってることなんだけど。今まで誰もそんなこと訊いてくれなかったからさ! 俺は結局、BOSSが<Precious>でハウスのパーティーに行くようになって、そこで俺は "Jaguar" を聴いてさ、俺は異常にその曲にだけ反応して、「あ、ハウスってこういうのもあるんだ!」なんて思ってて、後で聴いたらURだったってことで(笑)。そこからまた加速度的に俺は四つ打ちのテクノに入っていったんだよね(笑)。ミニマル・ミュージックが好きだっていうことなんだろうね。
● ヒップホップもミニマル・ミュージックですもんね。
そうそう、そうだよね。(サンプルを)チョップして作るっていうのが、加工するっていうことがやっぱ面白かったんだよね。
● でも、ヒップホップから入って、テクノも好きだっていうO.N.O.さんのテイストを集約したような音になってますよね、今回のアルバムは。
うん。でも、俺がそれだけで作るとつまんないものになってしまうところを、BOSSのテイストが入って、ちょうど良くなってるんだよね。う〜ん、いいグループだね(笑)!!二人とも、遊んでる場所も、聴いてる音楽も、聴いてる部分も、その捉え方も違うんだけど、カッコいいと思う曲は一緒だったりするんだよね。
● お互いのないところというか、違う部分を埋め合ってる関係なんでしょうかね。
あ、いいこと言った!そういうことだよ!それもさ、俺が後輩だったりとか、BOSSが後輩だったりしたら、その力関係も変わってくるしね(笑)。お互いの意見を取り入れ合うっていうところではすごく二人とも柔軟なんだよ。綱引きをしているとか、補い合うとか言うよりも、お互い吸収し合ってると言った方がいいかもしんない。「あ、そういう考え方はしたことなかったな」とか、「そういう風に聴くんだ?」とかね。いいグループなんじゃない〜?その上で、ヒップホップ・マナーが大好きってところがTha Blue Herbのカッコいいところなんだよね。そこはハズさねえ、っていうさ。