ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2007.12

ども。寒くなってきたね。札幌なんてかなーり寒い。耳が痛い。まったく、いよいよあの季節がやって来たぜって感じだな。

先月、金沢のライブ終わって少し自由な時間が出来たんで!ってことで旅行ってましたよ。今回はっていうか今回も行き先は
ネパール。俺、かなり好きなんですよね、この国が。今回はあまり時間が無いのでサクサク動いてました。2001年に
初めて訪れた時はそうとうやられましたね。O.N.Oや俺等の仲間もそれ以前に足を踏み入れててね、ヤバいぜネパールは!
ってなってたのね。それで俺もよっしゃあ!って行ってガツンと喰らったんですよ。じゃあ何に?って言われっと中々説明が
難しいんだけど、街、人、歴史、宗教、習慣、そして山!ヒマラヤは地球上ここにしかない!そん時はなんだかんだで2ヶ月
いて、ビザ無くなってもう1ヶ月延長して、合計で3ヶ月どおおっぷりネパールにはまってました。「路上」が産まれたのも
この時でした。一昨年もリリック書きに行ってましたね。そこでは「SUCH A GOOD FEELING」とか「TENDERLY」とか
産まれてた。で、3回目。まじでいつ行ってもドープ。この一言に尽きる。変わったモノは沢山あるんだけど(変わらないモノは
ないからね)そう言う表面的に目に入るモノなんかじゃなくて、事の本質っていうか、空気感は何にも変わってなかった。

世界はグローバル化してるって言われててさ、効率が良くなって、情報も早くなるし、もうはっきり言ってインターネットが
あれば世界のどこにいても仕事もできるし、音楽を発表する事も出来るわけですよ。一見。でも地球は広くてね、そういう便利に
繋がってる世界ってのはやっぱり狭い。どんどん統合されて行く世界(世間かな)を大きく取り囲む形で、道一杯に人々は
蠢いている。今日の生活を生きている。今年の祭りを楽しんでいる。出産を待ち、死を悲しんでいる。画一化された、自動車の
事を考えて造った街なんかじゃない中世の暗がりを、自動車がクラクションを鳴らして、おばちゃんは買い物袋抱えて、小さな
お姉ちゃんは弟を抱いて、観光客はキョロキョロしながら、プッシャーはその後を影の様につきまとい、野良犬は腹を空かせて、
野良牛はマイペースにすれ違う。「路上」の世界、そのまんま。ヨーロッパを旅した時(特に北側)に感じた人間同士の距離感とかとは
まるっきり違う。悪く言えば無関心、よく言うなら個人主義って感じの距離感は、日本でも感じられるし、都市生活独特のものだ。
これは時として心地いい場合もある。いちいち他人に煩わされなくてもいいし、自分のやりたい事にとことん没頭出来るしね。
でもネパール(や、モロッコ、スペインでも感じたな)で感じるそれはもっと近い。おせっかいと親切がわからなくなる程近い。
放っておいて欲しい(ま、放って置かれてんだけどね)って思う度に「俺ってノリわりいな。」なんて思っちゃうくらい皆、近い。
タイとかだと(バンコクね)あまり感じない。皆、観光客なんて眼中にない感じで過ごしてる様に見える。この違いってどこから
来るのかね?気質ってやつ?ベルリンやアムス、ロンドンでは近さをあまり感じない。(人は皆親切だよ)でもギリシャ、トルコでは
近さを感じる。観光客が金になるから皆が寄ってくるのかな?なんてひねくれて考えたりすることもあったけど、それほど金、金って
感じでもない。うーん。謎は深まる一方だ。俺はインド行ったこと無いんだけど、そこも凄そうだよね。面白そうだ。俺、呼ばれてる?

街、カトマンズはそんな感じで、もう細い道入る度に普通の暮らしがあって、オレンジ色の街灯と赤茶のレンガの壁が合わさって
とてもノスタルジックというか、タイムスリップ感がある。魔性がある。取り憑かれた様にいつまでも、どこまでも歩いていられる。

そしてヒマラヤ。1回目行った時には西側の山に入って行ったんで、今回は東側を攻めてみた。攻めたっていうか、何百と向こうから
やってくる急坂に攻められっぱなしだったけど。「SMILE WITH TEARS」の力が込められた一節「ただ1つだけはっきりしてる事は、
あんたはその坂を............」は前回の山歩きで思いついたリリックなんですよ。笑っちゃうくらい、本当にその通りで、一度歩き始めると、
諦めてやめる以外、もう引き返せない。誰も助けちゃくれない。シンプルに自分の体力と精神力だけが全ての世界。そこまで行っちゃうと
パスポートはおろか、クレジットカードも現金もまっじで何の役にも立ちゃあしねえ。「何で始めたんだろ」「黙って日本でライブやって
りゃあ良かった」数々のネガティブさが眼前に現れ、疲れさせ、諦めさせようと襲いかかる。でも登る。登らないと今夜の宿に行けない
から。すぐに夜の闇はやってくる。だから登る。皆、無言で登る。いまいましい登り坂を1つ1つクリアして行く。終わりは必ず来る。

究極の先、ほんと95くらい辛いんだけど、最後の5で見れる景色が全てを洗い流してくれる。心の底から、肉体の隅々が報われるんだ。

エベレスト、ローツェ、アマ・ダブラム、タムセルク、クワンデ.......超重量級の王達が黙して、目のピントが合わない大きさで鎮座してた。

どんな山奥に行っても人は住んでる。日本よりも、バンコクよりも、カトマンズよりも質素な生活。でもよく考えてみると必要なものは
全て揃っている。つまり不必要なものが何もないんだ。俺は背中のバックパックの重みを感じながら、哀れな己の身の不自由さに気付く。

1週間後、山を下りると、あれほど小さく、前時代的に思えたカトマンズが何と多くの便利さで満ちて見えることか!どんなメニューでも
すぐに食べられる。食べたいものが沢山ある!胸が躍る。同時に今まで自分がいた所が、自分の心を含めてとても平静だったことを知る。

そして西の観光地、ポカラに移動する。世界のバックパッカー的にも超チルな場所で有名で、俺的にも、平岸の仲間内でも定番中の定番。
同じく定番のラオスのヴァンビエン、タイのチェンマイから北、バリのウブドとかみたいに空気も良く、心身ともに解放出来てしまう天国
か?って場所。温暖で、ヒマラヤも西のオールスター達が1日中すぐそこに真っ白に輝いていて、人間はもちろん、道を行く野良牛達の
ペースもかなりユルい。そう、街全体がユルい。洗濯もし終わって、何もすることがなくなった昼下がり、波の全くない静止したフェワ湖
の水面に貸ボートをプカプカ浮かべて、別に漕ぎもせずに、プレッシャーのない、休みっぽい時間を過ごしていた。宿も、ネパールはどこ
行ってもそうだけど、供給過多は相変わらずで、1500円位出せば最高の部屋に泊まれる。バックパッカー万歳っていう国ですよ。

そして帰りにバンコク寄って、いつもの宿泊まって、いつもの店で髪切って、いつもの屋台で飯喰って、飲んで、氷点下の札幌に帰還!

EARTH PHOTOのコーナーに写真アップしてます。

帰った翌日、フィルモアノースでデヴィッドさんを迎えての「MUSIC IS LOVE」。間違いなし。久々に多くの友達と音楽を心底楽しんだ。

で、今は博多にいます。今年3回目。明日、初上陸の北九州から始まるLIVE STORY、冬の陣。九州、意外と暖かいな。うどんも喰って、
これからもつ鍋に行ってくるぜい。激動の2007年、第3期もいろんな山を越え、遂にここまで来た。このまま日本列島をもう1度縦断
して、12月30日の札幌でのライブまで一気に駆け抜ける。何度も行ってる街、久々の街、また皆と再会し、遊べるのを楽しみにしてる
ぜ。あの日の望みの続きを分かち合おう。そして初上陸となる千葉。多くの強者を輩出してきた街で、ライブやらせてもらうことを光栄に
思っています。北海道産の言葉と音、抜きと差しをたっぷりと楽しんでくれ。先月も告知しましたがBETWEEN YOU & MEもいよいよだ。
札幌はチケット制じゃなくて通常のフィルモアノースと同じく、入口でお金払って入ってもらうパーティーです。ちょっとどれくらいお客
が入るのか見当がつきません。ま、入れないってことはないと思うんだけど、ほんと何とも言えない。トップバッターのQUIETSTORMも
本気の凄腕なんで、彼がゼロから「何か」を形作って、暖め、俺等のライブに繋がって行くというパーティーなんで、俺はまじで自信を
持ってOPENから来ることをお薦めします。東京は平日になります。皆、仕事とかある中で、年末の忙しい中、こういう日程になって面倒
かける。っていうか週末はもう夏の時点で空いてなかったんですよ。すまんな。過去2回のライブの様に俺等のライブが終わったら照明が
明るくなってっていう日じゃなくて、俺等の後、NORIさんがきっちり仕上げてくれます。俺もその時間を過ごすのが楽しみだ。楽しもう!

Tーシャツ通販、沢山の注文ありがとうございました。

12月21日にTHA BLUE HERB3枚目のアルバム「LIFE STORY」のインスト盤が発売になります。これはアナログのみ。3枚組です。
数は多くはないのでお早めに。

では今年も残り1ヶ月。猪突猛進で突き進むぜ!
皆も健康で。
ILL-B