ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2008.09
もう9月。マジで時間の流れは早いね。8月もダイと懸命に駆け抜けました。列島はどこも、ステージもお客も熱かった。
まずはツアーのレポートから。
初上陸、木更津。柏以来の千葉。以前、中野のヘヴィーシックゼロで一緒に音を鳴らした音楽家と地元をレペゼンする音楽家、そして今年の
5月の鹿児島以来になるMOOCHYとの競演。羽田からは近かったね。海の真ん中突っ切ったらそこは木更津でした。今回仕切ってくれてた
KRAFTの軒先でのんびりして飯!木更津と言ったら!って事でマジ極上の魚づくし。次々出てくる北海道では釣れない魚にやられっぱなし。
満腹でリハ。共演者達がもう箱にいて、良い緊張感が漂ってた。俺等も気持ち引き締めてしっかり音作って本番に備える。中野からFESNの
森田氏も来てくれて映像の準備も万端。さあ本番。初めての街ってのはさ、お互い初対面でさ、期待と不安が入り交じってる独特の雰囲気
なんだよね。どうなっかは開けてみねえとわからねえ。小細工は通用しねえから真正面からぶつかっていった。木更津のオーディエンス達も
ぶっちぎりのノリで受け止めてくれた。まじ最高でした。ステージに押し寄せてくる皆の熱気に勇気づけられました。はるか北の札幌で、
本当に信じている事を、こうして初めて来た街で、包み隠さずに爆音で言えて、しかもあれだけの人が聴いてくれて、更に共感の叫び声を
俺等に与えてくれて、そうなったらさ、マジで俺等には感謝しかないです。それしか残ってないです。ありがとうございます。闘い終わって
からは、久々のMOOCHYのプレイ聴きながら、色んな人と飲んで、話して、笑って、と過ごし、最後は朝日が登った駅前のロータリーで、
森ちゃんとMOOCHYのスケボー見ながら、輝ける朝を迎えられた。ガネお疲れさん。木更津から聴こえてくる音楽、楽しみにしています。
翌週、やって来ましたよ。ライジングサンロックフェスティバル。2年連続4回目。去年は伝説となったサンステージ。忘れられないぜ。
しかし時間は動いている。俺等は過去の栄光にあぐらをかくようなタイプじゃない。前から次々と超えなくてはならない山場は襲ってくる。
今年はムーンサーカス。ターンテーブルで表現するアーティスト、つまりDJ、MCが、その日、そのステージにブッキングされた。上等。
やったろうじゃねえか!って気合いで石狩に向かって行った。着くなりステージにはスチャダラパー。始めて観れた。思えば1997年頃
O.N.Oの家で二人で試行錯誤しながら曲創ってた時、もうスチャダラパーはとっくの昔に色んな事を成し遂げていた。あれから11年、未だ
バリバリの現役。昔、俺等は俺等以外のラップチームは皆クソだと思ってた。でもスチャダラパーに対しては違った。ビートはマジドープ
だったし、ライムもタイト。アイディア、トピックも半端なかった。スタイルの違いはお互い様だぜ。肝心なのはオリジナルかどうかって
事っしょ?そっから見ればスチャダラパーは昔も今も最高だった。もちろん俺等も最高だぜ!ってノリでステージに出て行った。轟音の様な
オーディエンスの叫び。震えがくる。住んでる地元だけにリリックの一つ一つに現実が透けて見える。今年も究極の景色がステージからは
見えました。多くの本物、強者がひしめく夜、俺等を選んでくれて、見つけてくれて、信じて集まってくれて、聴いてくれていた全ての
友人達へ。あの日も言いましたが、本当にありがとうございます。あっという間の60分。時間の概念では計れない領域に、全員が確かに
ぶっ飛んでいた。そしてKRUSHさんのプレイで更に彼方へ。そしてNORIさんのプレイでゆっくりこの世に還ってきた。贅沢な流れだった。
ヘベレケに酔ってたね。帰りはススキノに寄ってだるま食って帰りました。今年の大きな節目、折り返し点はやはり頂点と呼べる夜だった。
そして愛知、新城市へ。鳳来という町。鳳来って名前の響き、字の雰囲気、美しいよね。この日はリハーサルのため前日到着。山深い会場
だった。052の顔役達とも久々の競演なので俺等的にもかなり楽しみにしていた。宿は湯谷温泉。いい雰囲気の宿。川の流れが耳に心地
いい。真っ暗な中チェックインして、風呂入って、ぐっすり寝て、朝起きてみたらなんとびっくり、こんなとこにいたんだって言う位の
絶景。すげえ。昼過ぎに現場に向かう。まずは飯!ってことで、宿のおばちゃんに聞いた飯屋で鮎を食う。鮎は北海道では中々食えないので
上がったね。ごちそうさんですっ。で、現場。天気があまり良くなく小雨まじりだったんだけど、お客は熱かったぜ。出演アーティストも
熱かった。052の顔役達も皆、いい感じだ。この日はHIP HOPだけではなくあらゆる音楽が鳴ってた。俺等的にも、どんな場所なのか、
パーティーなのか、全くわからなかったんだけど、出来る事は一つしかねえって感じで、雨が激しくなった中、ステージに出て行った。魂を
燃やすしかねえ。なんせ目の前にはずぶ濡れのオーディエンス。任せとけ。がっちりぶちかました。AME NI MO MAKEZの辺りから、雨が
やみ始める。OK。だろうと思ったぜ。拍手喝采を浴びながらステージを降りた。マジで皆、ありがとうございます。やる前はどうなるのか
全くわからなかったけど、終わってみればいつものように良い時間だった。鳳雷、色々世話になった。心意気は、そこにいた皆にしっかり
伝わってたと思う。今年で3年目、知ってるとは思うがまだまだ始まったばかりだ。この日、そこにいれて、マジで良かった。また遊ぼう。
そして8月末の大きな山場。東京は渋谷ASIAと札幌は手稲の山で行われたマジカルキャンプの2連戦。片や究極の都会ど真ん中。片や自然の
ど真ん中。行われる時間こそ同じ丑三つ時なんだけど、そこは、底は、風景も、空気感も、言う事も、はまる曲も、すべて正反対な場所。
しっかり2日分の、2種類のセットを、平日の時間を惜しみなく使って、何度も、何度も繰り返し練習してきた。どちらも落とせねえ大事な
勝負。対バン相手も、どちらも凄腕揃い。そこで、結局はTHA BLUE HERBのライブしか印象に残ってねえってお客に翌日、つぶやかせる
ライブをするんだ。出来るかどうか、出来たかどうかは関係ない。好きか、嫌いか、良かったか、悪かったかの2種類しかない。その間は
ない。TBHRの他の仕事で俺もダイも、この数日は頭パンパンに忙しかったけど、準備だけはしっかりしてきた。あとはぶちかますだけ。
東京は夕方到着。飛行機の中から稲妻が見えていたから、もしやと思って地上に降り立つと、どっしゃ降り。これには参った。まずは恵比寿
に行って、リキッドルームで秋からのツアーの各街のテレビ、ラジオのコメント収録。ASIAでのリハの時間が迫っているので、速攻やる。
10分で6本録って、足早に渋谷へ。今回は古くからの友人(もう古くからだね)KOINUというバンドの主宰するパーティー。その昔、
新宿にリキッドがあった時代、1度そのパーティーには呼ばれていて、今回で2回目。共演者もほとんどがよく現場で顔をあわせる面々。
リラックスしてリハ。外はまだどしゃ降り。電車が止まったとか、お客の出足が心配だ。リハ終わって外に出ると、まだ降ってる。でも
外には沢山のお客が待ってる!上がったぜ。皆よく来てくれた。気合いが入る。ライブは3時半スタート。3月以来の渋谷。あの日も、俺は
言ったけど、マジで渋谷でのライブってなると緊張感が独特だ。ある意味、俺はずーっと渋谷を憎み、復讐するために、はるか離れた札幌で
牙を研いでいた。それから長い時間を経て、東京のオーディエンスと、東京のMCと、音楽家と出会い、多くの友人を得て、今日に至る。
暖かみってヤツはいつも儚いが、本当に良い時間だった。シリアスで、ラフで、それでいてホームにいる感覚すら漂うあの雰囲気。最高だ。
皆、ありがとうございました。未来は思ってたよりもずっとずっと広かった。音楽やってきて、続けてきて、色んなエピソード、確執を経て
そして文字通り数えきれないライブを経て、俺等と東京のオーディエンスはあの夜も特別な何かを分け合った。いつもの様に。そして、また
いつもの様に別れた。皆、また遊べる日を楽しみにしています。あの場にいた全員の健康と健闘を祈る。そしてKOINUクルー!素晴らしい
場所を俺等に与えてくれてありがとう。本当にあのまま、まだ飲んで、バカ話して、ふざけて、笑いあっていたかったよ。また遊ぼうぜ。
翌日、起きてカラッと晴れた渋谷を出発。昨日はライブ終わったのが朝5時、ラストのDJ QUIETSTORMの1時間で一気に上がって、飲み
遊んだ。少ししゃべりすぎてノドが心配だ。しかし疲れてる。でも行くしかない。目指すは深夜2時半の手稲の山。遠い・・・。羽田空港で
酸素バーに行って、飛行機で寝る。MJPのKENとI&Iが一緒だった。彼等は昨日池袋でライブ、で、今夜同じパーティーに出演する。お互い
ハードな日程だ。軽く空港で話して、彼等は出番が早いのでそのまま現場に向かって行った。俺等は1度帰宅。すぐ準備して、スタジオへ。
昨日とはセットが微妙に違うので、もう1度リハーサルをしてから現場の手稲の山へ。霧が半端なく、道の先が全然見えねえ。雨も心配だが
頂上に着いてみれば、星が出てた。お!いいね。人も沢山いる。去年よりも規模もでかくなってて、音も良い!頑張ったな、てつや。まだ
本番まで時間があったんで会場をぶらつく。さすが愛する札幌。3メートルに一人は友達がいる。上がるねえ。2週間前のライジングと比べ
ホーム感がかなりある。ライジングにいる札幌のオーディエンスも落とせないが、昔から、本当に昔から俺の事、THA BLUE HERBの事を
見続けてきた彼等の前でのライブも全く同じく落とせない。あの、何もわかっちゃいなかった俺等が今、何を言っているか、そしてどんな音
を鳴らしているか、何よりもオーディエンスとどんな時間を創りだし、共有しているのか、しっかり観て欲しかった。ライブは夜明け前、
1日の中で一番暗い時間。余裕。そこで、底で魂を燃やして、その明るさで進むべき道を照らすんだ。 ダイとステージ裏、遂に辿り着いた
ゴールでスタートを静かに待つ。50分1本勝負。遠くまで埋め尽くすオーディエンス一人一人の顔がよく見えた。最後の最後、俺等の身に
は余る程の、あの拍手が鳴り響く光景は今も忘れられねえ。夜明けはまだ来ていなかったけれど、俺等には札幌の過去、現在、そして未来を
含む、希望の輝きが目に焼き付けられた。そしてそれはまだ消えていない。皆、ありがとうございました。あの場でも言ったけれど、あの日
のライブは、突然変異的にあの場に産まれたモノではない。長い時間、試行錯誤してきて、多くの過ちを犯し、学び、そして磨き上げられ、
そしてオーディエンスによって育まれた、奇跡ではあるが偶然ではない、音楽の街、札幌の、必然の産物だ。そしてそれは今も進化してる、
現在進行形の生き物だ。ライジング、マジカルキャンプとやらせてもらって、次のライブ、9月のフィルモアで札幌でのライブは恐らくだが
今年は最後だ。また遊ぼう。そしててつやと仲間達へ。素晴らしい空間だった。歴史は少しずつ、つまずいたり、遠回りしたりしながらも、
確実に前へ進んでいる。同じ時代に生きあわせ、その場に共に立ち会えて光栄に思います。御苦労さんでした。誘ってくれてありがとう。
今、我がTBHRは久々に大きなリリースを控え、動き始めています。それはO.N.Oの2枚目のソロアルバムです。詳細は来月。お楽しみに。
そして今月はこのインフォメーションを。
ーAUTUMN BRIGHTNESS TOURー
もう携帯サイトでは先行で情報解禁してますが、10月8日からでかいツアーを開催します。去年の春のアルバムリリース以来、果てしなく
続いてきたライブの修練の一つの集大成とするべく、青森から鹿児島まで、1ヶ月で17本に渡る長丁場を駆け抜けます。こっちの希望する
箱のタイミングが合う限りのブッキングを入れました。単発の週末ライブではない1本の長い道。経験した事のない過酷なツアーは俺等に
何をもたらすのか。ガッチリ自分らを追い込んで、更なる高みに辿り着きたいと思ってる。しかも今回は俺等だけのツアーではない。同じ
札幌のMC達がオープニングアクトとして全日程帯同してくれる。最初はMIC JACK PRODUCTIONと回る話になってたが、簡単にはいかず
話はなくなった。まあ、なくなったからって俺等の関係は変わらないよ。勘ぐらないでくれよ。彼等も新たなプロジェクトを始動させた。
お互いベストを尽くせば良いと思っている。でも、俺的には諦めたくなかった。ずっと一緒に別のグループと長いツアーを回る事により、
単に仲がもっと良くなるって以上に、お互いが学ぶ事は多々あると思ってたから。ADFとのあのツアーでそうひらめいたんだ。そして彼等に
声をかけたんだ。その名もNORTH SMOKE INGと名乗るMC達。もう長い間ススキノの地下1階で顔を合わせている同じ札幌の仲間達。
彼等はMIC JACK PRODUCTIONが主宰するパーティーにずっと出演してきて、今年春にアルバムを完成させた。タイミングもばっちりだ。
俺等もその昔、誰も俺等の事なんか知らなかった時代、志を胸に札幌から海を渡って、中央に乗り込んでいって、多くの強者の共演者達と
手合わせする機会を与えられた。はっきり言って、そこで、底でお客をどれだけかっさらってくるか。これが俺等にとって死活問題だった。
じゃねえと次のチャンスなんてやってこねえ。お情け無用だぜ。その夜のトップを取るか、取られるかの繰り返しをずーっとやって来た。
1999年の5月2日の夜からもう9年。今、俺等は幸運にもワンマンでお客が集められる状態にある。歴史は繰り返す。次々と新しい
世代が台頭してくる。望もうが、望むまいが止まらない。そこで俺等はどんな音を鳴らすのか?若さなんてもんはいずれ消えてなくなる。
そこで俺等は音を鳴らせられるのか?鳴らしていくしかねえじゃねえか。そういう気概で挑戦していくぜ。皆、しっかりと見届けてくれ。
全ての街に行きたいとは思っているが、中々そうはいかない。これは片方の気持ちだけではどうにもならない。だから今回行けない街に住む
俺等が地元に来ることを望んでくれている友人達には申し訳ないとしか言いようがない。また次のタイミングをお互い待とう。俺は待つ。
そして今回、やっとというか、遂にというか、初めて行ける街が4カ所あります。盛岡、浜松、高松、高知です。同じようにずっと昔の
段階でブッキングが決まりかけて、色んな条件が合わなくて行けなかった街もこの中にはあります。その街の友人達よ。その時は近いぜ。
全ての日程、深夜にやるライブではありません。会場は18時半で19時半にはもうライブ始まります。詳しくは各会場の問い合わせまで。
日程、会場、問い合わせ先はライブスケジュールで見れます。
とにかく、今は練習を怠らず、その日に備える毎日です。9月はライブ大阪、札幌の2本。大阪は去年のあのビッグバンに続いて同じ場所。
最高の対バンのメンツ、最高のシチュエーション、最高のオーディエンスとの再会、楽しみにしています。そして札幌。10年以上前から
俺等にとって大切な場所、歌詞にも当然のように何度も出てきたCAM CAMのアニバーサリー。CALM BANDと対バンも楽しみ。楽しもう。
10月は好評を得ているDJ DYEのMIX CD「SEASONAL BEST:AUTUMN」がオンラインショップで発売になります。よろしくです。
今月は長くなった。最後まで読んでくれて感謝。健康で。
ILL-B