ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2012.07

7月。

もう始まっちゃってます。「TOTAL」RELEASE TOURが走り出してます。5月9日の発売日前には、常に一手先って感じで、既に札幌でDJ DYEとの
ライブリハーサルは始まってました。まずは「TOTAL」収録曲を演奏できるようになる事。これが何よりの基本。そこから過去の曲の再構築、そして
全体の構成。ワンマンライブは離陸から着陸までなので、自分等の持っている経験を全て総動員して、お客との距離感をイメージしてきました。2人の
想像も相当ハードルを上げてきました。しかし、実際のライブ、まさにライブの名の通り、フタを開けてみないと解らない事はやはりある。どんな夜に
なるかは、はっきり言って全てが違うだろうし、数をこなしていく事で身についていく部分も多々ある。ほんと面白いよね。とにかく今は過程なんだと
常に自分に言い聞かせ、焦らずじっくりとリハーサルを重ねてきた。目指す地点は最上ではない。自分等が今までやってきた事、つまりライブに備える
にあたって1つの基準となる心境、つまり「やるべき事は全てやった。後はなるようになる」という所まで煮詰めた。そこから先は現場に答えがある。

そしてやって来たその日。6月9日。THA BLUE HERBの第4段階目、初となるライブ。場所は山梨甲府KAZOO HALL。山梨代表しているMC田我流の
アルバムリリースパーティーの前座としての出演。朝8時には札幌駅の5番フォームにいた。新千歳空港に向かい、着陸後も長い道のりを経て、山梨に
着いたのは15時。PAのサニーさん、ナオミ、照明の畠中さんというTHA BLUE HERBのライブチーム最強の布陣で乗り込んだんだ。迎える田我流、
YOUNG-G始めstillichimiyaの仲間達も続々集結。一見、シチュエーションは2010年の9月と全く同じなんだけど、実情は大きく違った。その日、俺等
は前座。しかも20ヶ月ぶりのライブ。前回前座だった田我流はこの日の主役。しかもライブやりまくってる時期。だから謙虚にならなくてはいけない
のは俺等だったんだ。そういう心境だった。よろしくお願いします的な。その感じが何より良かった。キャリアとか実績じゃねえ、現在やる事やってる
側が正義ってやつよ。俺等はしっかり学ばせてもらう立場。悪くねえ。一抹の不安もあったと言えばあった。田我流の前、絶対にお客を白けさせては
ならねえ。伝わるか。持ってきた弾で良かったのか。久しぶりの感覚はズレてはいないか。色々考えていた。でも、もうその日になっちまった。後は、
そうだ、なるようになるよ。INTO RAWが聴こえてくる。そしてお客の絶叫も。懐かしさと緊張が入り交じった舞台裏。また始まるんだなと思ってた。
ライブは1時間。精一杯やらせてもらった。慣れきってない部分も多かったし、随分お客に助けられた。終わった後のお客の拍手と笑顔に救われたよ。
前座としての役割は果たす事ができたと思う。皆、上がってくれてありがとうございました!楽しかったとか、振り返られる程全てを憶えてはいない。
やっぱ無我夢中って感じになってたね。でも、第4段階目の始まりがあの場所で、そしてあの役割で、やって意味があったと今は思ってます。

終演後、田我流にバトンを渡して、旨い酒を呑んだ。田我流のライブは最高だった。あいつ等の、素のままで楽しむ姿勢がこっちにも伝わってきてさ、
俺もお客と一緒になって楽しませてもらった。無論、2人のコンビネーションや工夫に、学ぶべき点も沢山あった。相当良いと思うよ。stillichimiya。
まだの人がいたら聴いて、観てみなよ。とにかく!ぶっちぎりで良い夜だったんだよ。終わってから打ち上げでも色々話して、笑って、B-BOY魂が
丸出しのHIP HOP話が延々続いてた。産まれも育ちも世代もスタイルも違うけど、実際あんな感じで顔を合わせて、それぞれの表現を真正面から堂々と
ぶつけあえばさ、ばっちりっしょ。悪い話にはならねえって。だってHIP HOP好きだもん。そういうとこが好きなんだ。そういう発展していく感じが。
このご時世、狭い畑で罵りあっててもな。俺は違う。そんなんじゃねえ。そんなんじゃ悪いけどもう燃えねえ。バカにされたり貶されたりするよりも、
あんなライブを見せつけられた方が、よっぽどやられる。打ちのめされる。そういうのが好きだ。良い夜を過ごさせてくれた山梨の皆、ありがとう。
田我流、あの日サシで俺が言ったセリフ「すぐに追いついてやるぜ」ってのは嘘じゃねえ。解ってるとは思うが、あれは序の口だぜ。俺って奴はさ、
今となっちゃDISられても捨て置くが、良い音楽、良いライブに関してはさ、聴かせられっぱなしじゃあ済まさねえよ。俺の負けず嫌いは相当だぜ。
お互い精進して、また、あの夜よりも、ずっとずっと高いレベルで音楽を鳴らしあって遊ぼうぜ。PEACE!

すぐに札幌に戻り、DYEとスタジオへ通い詰める。あれだよ。あれ。あの場で感じた感覚。修正箇所は自ずと見えている。時間はない。再構築を急げ。

そして始まった「TOTAL」RELEASE TOUR本番。第1ラウンド。極北の地、北見。あの日、PHASE 3最後のライブ以来となる特急オホーツク。出発
時間も全く同じ。同じ景色を車窓から見ながら、俺は色々な事を考えてたよ。あの日、カメラクルーと一緒に最後のインタビューを撮ったりしながら、
俺はその日のライブを、PHASE 3をどう終わらせるかばかり考えていたんだ。そしてその様子は「PHASE 3.9」に映っている通りだ。あれから時間が
流れ、色々あった。3.11があった。今はもうあの頃とは違うんだ。既に大きく一線越えてしまった世の中に生きている。あの日には産まれていなかった
「TOTAL」を携えて、新しい時代を切り開いて行くために、俺はこの電車に乗ってる。ただの地方営業なんかじゃねえよ。古い友人達との再会なんだ。
箱は前回とは違う。そこは、もう、なくなった。北見も動いている。初登場となる箱、UNDERSTANDに着く。その箱は初めてだけど、迎えてくれる
人は顔なじみ。リハ終わらせ飯へ。焼肉王国北見の懐の深さを喰らってしまった。いやいや凄いね。凄すぎる。味も値段も、こんなの体験した事ねえ。
写真じゃ伝わらんな。ゴチ!本番は深夜。お客は待っててくれた。ここで今夜、ライブをやるという意味を知ってくれている人が待っててくれてた。
聞けば道外からも集まってくれていたという。ありがたい。では始めよう。復帰初となるロングセット。2時間の長丁場。まだ手探りの部分もあるが、
やってて思ったけど、その手探りの部分こそがライブなんだよな。ついつい完璧を求める癖が俺にはあるからさ、どのみち回を重ねていけば自然自ずと
完璧に近づいて行くもんなんだけど、今の段階、ここはほんと固まりきっていない段階って貴重だよ。RAWってやつ。それが故のライブ感があるんだ。
そこら辺、気付いてくれてたかな。時に尖り、時にあがき、時に狂い、時に吠えたてもする俺等を、終始、北見の皆の大きくて温かいヴァイブスが包み
込んでくれていた。いつもの事ながら、ありがとうございました!楽しかったのを今も憶えています。終わってからも相当楽しんだな。札幌から一緒に
行ったICHI君のDJを聴きながら、ほんと良い時間だった。多くと多くを話せたし、DYEともこれからの事とかも話せたし、好きな曲達に浸りながら、
独りでゆっくりも考えられた。これまでの事じゃなく、これからの事を。気付けば朝8時半〜。良い夜でした。また遊びましょう。皆、元気でね。


そして。。。今は福岡です。もう始まってます。今日はオフ。昨日は大阪。一昨日は名古屋。そこからのレポートは来月に。ただね、これだけは言える
けど、名古屋と大阪、二晩ともマジでハンパなかったです。来てくれた人は知ってくれてると思うけど、何と言うか、今までにない感じです。お客さん
上がりまくってくれてて、何度も何度もドカーンって突き抜けまくってたよ。予想大きく越えてぶっちぎりでスタートしてますよ。道のりは、まだまだ
始まったばかり。あなたの街へ向かってますぜ。各地、ステージと客席、心と心を隔てる垣根を楽勝で越えて、シンクロしながら上がってこうぜ〜!


TOUR REPORTに写真載せてます。山梨甲府、リハ、楽屋、打ち上げの写真がHayachiN。ステージ舞台裏、本番がYUKITAKA AMEMIYA君です。

昨日終えたばかりですが、大阪、また行きます。俺等も何度もライブをやらせてもらってきた愛する箱、NOONが、理不尽極まりない風営法の拡大解釈
によって取り締まられた事は知っている人も多いと思う。あの場でライブをやらせてもらってきた人間として言わせてもらうけど、何も悪い事なんて
起こっちゃいなかった。それどころか調和と可能性が輝いていた。俺はそこに、底にいたから知っている。知っている人は多いと思う。あの夜、誰も
寝ないで過ごしたあの時間、全て夢だったって事か、真実だったって事か、今、問われているんだ。NOONに限らず関西圏、福岡、都内でもそういう
動きが起こっていて、最早、先方の突きつけてくる話は、そもそもクラブを何時から何時まで営業して良いかどうかに留まらず、「踊る」という元来
人間の自然な行為にまで及んでいるんだ。おかしな話だ。もっとやる事あんだろうよ。しかし実際、国家テロ的な強権発動に踏み切られては個人の力は
とても弱いものになってしまう。皆、自由に踊りたいよね。俺は踊りたいぜ。踊り足りないぜ。踊って頭の中を空っぽにしたり、音楽聴いて何か良い事
思いついたり、っていうかそんな事、他人の許可なんていちいち構っちゃいねえっしょ。何て言うかさ、この国、今ヤバいんだよ。確かに、世の中、
完全自由なんてあり得ない。皆が皆、好きな事をやってたら、秩序は成り立たない。こっち側にも責められて弱い部分もあるにはある。完全正義なんて
どっちにもないからね。でもさ、お上のやる事が全て正しいって事はないって学んだんだ。何となく思ってたけど、もうちゃんと知ってしまったんだ。
声を上げるんだよ。もう始めている人が大勢いる。早い遅いじゃないよ。無論、色んな意見もあるはずだ。多いに議論すべきだ。ただはっきりしてる
事は、与えられるのを待ってても、もうこの先は何も与えられっこないよって事。権利とはつかみ取るものだったんだ。沈黙も必要な時はある。でも、
声を上げなくてはならない時もある。首相官邸に集まったり、仲間が囚われてそこに疑問の余地があるのなら、声を上げるんだ。札幌とか大阪とかじゃ
なくて、これは同じカルチャーに携わっている全体の問題なんだと思ってる。その日、多くの偉大な音楽家達に混ざって、俺等も声を上げに行きます。
個人の力はいつの世も小さいもの。でも今、日本中で何かが始まろうとしている。ひょっとしたら、ひょっとするような気がする。ここも読んでみて



フジロックに出ます。2000年に初めてフジロックに出させてもらった時に立った場所、そう!あのホワイトステージに、12年間を一回りして、北から
戻ってきます。それがどんな意味を持つのか、奮い立っているのは俺等だけかな。まさか、そんなはずはない、その意味を共有していると信じてるぜ。

北海道圏ですが、「夢チカ」という番組に出ます。7月2日の深夜24時50分から。札幌でロングインタビューも受けました。

言いたい事はライブで全て言わせてもらっています。皆のそれぞれの忙しい生活の中、もしもタイミングが合ったら、そこで会えれば、と思ってます。
来いって!

ILL-B