ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2013.07

7月。
今年も既に半分過ぎ去った。皆、やりたい事やれた?やれていた事を、やれている事を祈る。うまくいかない時もあるのはお互い様。時は静かに流れていく。
重要なのは、結局は、後々の自分を納得させられるのは、ただただ唯一、その時の私は挑戦していたって誇れる事実だけ。それは私しか知らない事。世界中の
私だけ知っていればそれでOK。静かな満足。ささやかな達成。騒がしい結果は後の話。語られる歴史も後の話。現在進行形の命だからハッスルしていこうぜ。


ホーム札幌、凱旋ライブが近づいてます。特別限定前売りチケットもサクッと売り切れました。そうじゃねえと始まらねえ。ありがとう。無論、だからって
当日入れないって事はありません。各自フライヤー持参で3,000円です。フライヤーがない場合は3,500円です。開場は19:00。YO 札幌。先輩も同世代も
後輩も関係ねえ。同じ時代、同じ国、同じ言語、それは小さな偶然だ。そんな奇跡の中でさらに同じ土地で生き合わせた俺等、ここは集まれた皆で楽しもう。


選挙近づいてるね。俺は今回は三宅洋平に入れてみようと思ってる。今まで誰かに入れたみたいに、他に誰もマシなのがいないからって理由じゃない。無論、
彼の全てを知っているワケではないけれど(そんなの皆そうだけど)、投票に行こうと思える能動的な気分が俺にはある。そう思わせる何かが洋平にはある。
って言うかさ、下の名前で呼べる人が、友人が国政に立候補するって事が既に革命。彼の勇気に、ただの1票だけど、それを投じる喜びすら与えてもらってる。
洋平だから俺は投票する。つまり、洋平が言っている事と他の誰かの言っている事を突き合わせた結果、洋平を選んだってワケじゃない。洋平が間違った事を
言ってるとかじゃない。はっきり言って完璧。何の異論もない。ただ、今回俺が洋平に投票する理由はそこじゃない。これは、きっと、長い長い歴史の1つの
分かれ目な予感がするんだ。何よりも、誰よりも、最初に踏み出したって事に価値がある。時代の始まりの終わりってやつよ。俺はそこに1票賭けるぜ。以上。


先月もここで軽く触れていましたが、3月15、16、17日に東日本大震災で被災した東北の東海岸側で敢行された「CAN'T STOP TALKING TOUR」の軌跡が
DVD作品になります。現在、制作は最終局面に入っております。監督は「PHASE 3.9」を手がけた川口潤氏。タイトルは「PRAYERS」。DVDは2枚組です。
DISC1は宮古から大船渡、そして石巻までの国道45号線の道中の映像、インタビュー、宮古と大船渡でのライブなどを収録。DISC2はツアー最終日、石巻での
ライブを完全収録。さらにTHA BLUE HERBの約1年ぶりの新曲となる同タイトル「PRAYERS」を収録したCDを加えた、2DVD+1CDの全3枚組!価格は
税込4,980円。発売は8月14日。8月7日からここの通販サイトで先行販売します。店頭、通販、どちらも初回特典として昨年7月8日ホーム札幌、ペニーレーン
で行なわれたライブ音源をダイジェストで収録したCDを付けます。こちら、ホーム札幌ならではの選曲、MC、力の入り方で、がっつりと鳴っております。

あのライブから、あの被災地での日々から、もう4ヶ月が過ぎた。今、俺はあの旅を収めた映像を何度も見返している。晴れ渡った午後、大切なものの多くが
流れ去った地をひた走り、遂に辿り着いた突風吹きすさぶ暗黒の夜、2年後のあの週末あの夜あの高みで、共に創り上げたあの透明で強固な祈りの彫刻。共有された
言葉、そして言葉にならないその先の祈り。すなわちそこで行なわれたライブ自体、これは残されるべきものだと、俺はその時、既に感じていた。そして同時に、
音楽とかライブとか以前に、俺のような普通の人間、被災地を常に想いながらも、そこから遠く離れた日常の忙しさの中に生きていて、その地に中々行く事が
出来なかった人間が、2年後、そこに行って、何を見て、何を感じ、実際の死と破壊の現実に接して、心の混乱や痛みの底からどんな言葉を拾い上げていった
のか。更に言えば、生き残った罪悪感や遅れてやってきた負い目を引きずる弱い自己をどう克服していったのか。これはまだ何も終わっていない、これからも
長く続いていく東北の復興の道程において、これからそこに行こうと思っている人、何かをやろうと思っている人にとっても有効な映像だと信じています。

今日もNBC作戦続行中。



ここからは恒例のライブレポートを。6月も激戦続きでした。47都道府県2周目制覇も成し遂げた。昨年の5月に「TOTAL」を完成させ、発売した後は、俺等、
この1年間、そこに向けて生きてきた。毎回毎回、勉強だった。気付かぬうちに慢心がまとわりつき、このままじゃいつか痛い目にあっちまうと、何度も気付き
研究と練習を重ねてきた。そうして辿り着いたこの6月も多くを学んだ。ただ上手くやるとか、格好良く見せるとかじゃない部分で、学べる機会は多々あった。
2013年上半期、ライブも残すは5本。きっとそこでも思い通りにいかない事はあるだろう。要は、どんな状況でも、箱でも、お客でも、こっち側からは何1つ
選べないって事だ。同時に、こっち側に合わせられる事も限られているって事。そこで気持ちを切らさず、揺れず、自分等の力をいかに出し切れるかっすわ。
とにかく、「追う者は追われる者に勝る」ってね。「追われる者は追う者を待たん」ってね。目指す頂上は、その価値は、人それぞれだ。俺等は俺等で、また
1つの高みを極めた。47都道府県、どこも意味深かった。文字通り、ぶっちぎりの独走だった。誰の追随も許さなかったぜ。さて、じゃあ次は何を追うかな。

ツアーレポート、写真を見てもらえれば解ると思いますが、6月は色んなジャンルで闘っている、同じノリを乗りこなす愛すべきファンキーすぎる音楽仲間達と
遊べました。先月の佐賀で会って頂で会って森波で会ってって仲間や、森波で会って町田で会ってって仲間や、頂で会って沖縄で会ってって仲間。マジで同じ
大海の中、繋がりまくってたね!どこにいても、いつでも、皆、変わらず、相手の音楽に寛容で、そして出番が来たら負けず嫌い、そんな皆、本当最高っす!

頂。静岡近郊で行なわれてきたフェス。もう何年もオファーをもらっていたんだけど、今まで中々タイミングが合わなかった。だから去年の春の時点で今年の
開催日は空けてた。待望の初登場。メンツも今まで色んな所で顔を合わせてきた、友人でもありライバルでもある強者ばかり。新千歳から羽田、品川経由して
静岡着。1月の静岡ツアーでも世話になったHIROMATICとユウキの運転で現地へ。着くとGOMAちゃんがどっか〜ん!って沸かせてた。楽屋エリアもあちこち
知ってる顔だらけ!邂逅、再会、挨拶、談笑、超楽しい。俺等の出番はその日のメインステージのトリ。初出場でトリっていうブッキングに皆の期待を感じて
いたよ。同時にプレッシャーもね。辺りはすっかり闇に包まれ、俺等の出番。60分1本勝負。新旧織り交ぜ、野外ならではの天井知らずな大気圏外セットで
がっつりぶっ飛べました。飛び過ぎて終わってからも意識が地球に戻ってくるのにしばらく時間がかかっちまったよ。お客の皆の上がりのおかげです。そこで
聴いていてくれてありがとうございました。翌日も朝から飛行機ギリギリまでずっと遊んじゃいました。まさに頂の名にふさわしく、楽しみが突き抜けてた!

高松。そしてやってきた約束の地。47都道府県2周目制覇のゴール。5年ぶり2回目。神戸空港から三河さんの運転で3時間のロングドライブ。着く頃には結構
疲れてたけど、そこは高松。うどんがあるじゃないか!で、バカ一代っていうお店に直行。流石貫禄の激旨。こりゃ札幌では喰えんわな。街も古さが良い味を
醸し出してて、雰囲気あるね。四国ってどこに行っても、いつか住んでみたいなって思うよ。今回色々力を貸してくれた、ゆうたろうと合流。そこから途中に
タワー寄って挨拶して、箱へ。RAD。PAのナオミとDYEで音作り。からのリハ。時間かけて入念に準備。そこがゴールだとか、全く考えてなかった。むしろ
今夜を乗り越える事の難しさ、ヤマの険しさ、常に最悪の状況を想定する姿勢は全くもっていつも通りだった。瀬戸内の魚をたっぷりいただき、本番へ。中は
良い感じで温まってる。さあ行こう!俺等と高松、この巡り合わせを楽しもうぜ。90分、起伏を何度も乗り越え、高松の皆と同じ新しい未来を確かめ合った。
そこで聴いていてくれてありがとうございました。おかげさんで意味深いゴールになりました。また遊びに行きます!ゆうたろう、マジで色々とありがとう!

森波。宮城県登米市の山中で醸造されてきた知る人ぞ知る祭。もう結構前に登米の仲間と繋がれて、何度も会い、呑んで話して、そしてこのタイミングで遂に
出る事ができた。美しい田園と最先端のぶっ飛び音楽が共存している登米という完全オリジナルなエリアを、現地で、自分の肌で感じたいと、そこで自分等の
音楽を鳴らしてみたいと俺はずっと思っていた。高松でうどん喰って13時に出発(ツチノコ運転お疲れ!)、登米に着いたのが夜9時。ハードな移動だった。
天気は雨。現場への道、不安も少しはあった。でも!着いたらそこは解放区。自由な空気に満ちていた。気付けば雨も止んでいた。イケる!そう確信したよ。
そしてライブ。山の向こうは南三陸。そう、ここは特別な場所。気持ち込めてがっつりやらせてもらった。生と死の狭間、束の間の今、ここで生きているって
事を全身全霊で伝え切った。あれが俺等の全て。そこで聴いていてくれてありがとうございました。応えまくってくれた皆、熱はステージにばっちり伝わって
きてたよ。念願叶って参加できてマジで嬉しかったし、色々観れた音楽家達も皆、素晴らしかった。お客もスタッフも皆、温かかった。MITCH!ありがとう!

渋谷。ここも大舞台、O-EAST。相手はtoe。そして前売りは完売。ヤバい夜になる予感ビッシビシ来てたね。気合い入ってたよ。俺等をそこで初めて観る人も
確実に半分はいるはずだ。先行は俺等。後に控えるは強者toe。どっちみち、彼等が全部持っていく筈だ。そこでどれだけのインパクトをお客の心に残せるか。
昔はいつもそういう勝負ばかりだった。最近は赤コーナーでのブッキングが多くなってきてたから、このタイミングで初心に帰るのは意義がある。PAナオミ、
照明畠中両氏も準備万端。音も光も映えまくる大きさの箱。後はやるだけだ。天気が良くなく、しかも早い時間の開場にも関わらず、沢山のお客が詰めかけて
くれた。さあ始めよう。時に煽り、挑発すらも織り交ぜながら、お客を言葉だけで束ねていく。それぞれの価値観の違いを乗り越え、どう巻き込んでいくか、
いつも通り、一瞬たりとも気を抜けない濃密な60分だった。最後はズッド〜ン!って大爆発でした。そこで聴いていてくれてありがとうございました。究極に
楽しかった!そしてtoe。ばっちりだったぜ。言葉の音楽と、言葉を用いない音楽、でも目指す高みは同じ。一緒に1つのステージを分かち合えて光栄でした!

町田。帰ってきたぜ。4年ぶり2回目。イカレた仲間達と遊べるのを楽しみにしていたよ。渋谷から下北沢経由で到着。そんな遠くもないし、同じ都内だけど
やはり独特の空気だ。迎えてくれたのは!盟友YAMAZIN。お互い長い時間、この世界で生き残ってるな。最初に会ったのなんて、まだTHA BLUE HERBでは
なかったからね。東京にウータンのライブ観に行った後、六本木のバーでマイク持てるってんで行ったら、先にマイク握ってたのがYAMAZINだった。最近は
涙と笑いを見事に両立した境地に辿り着いた。いつどこで会っても俺等は変わらねえ。いえ〜い兄弟!しかもこの日はMEANINGというバンドも一緒だ。去年の
エアジャムでも同じステージだった。前売りは完売。先行はMEANING。初っ端からホットだったぜ〜。完全に弾みついた。そしてYAMAZIN。この日も自身の
ワールド炸裂。マジ誰にも似てねえ。ほんと希有。で、俺等っす。超熱かった。ショートパンツで出て行って良かった。危なかった。久々の町田、荒ぶる皆の
おかげでラフでタフなライブでした。楽しすぎた。こういうヤマは成長できる。そこで聴いていてくれてありがとうございました。パール、色々ありがとう!

沖縄。8ヶ月ぶりの帰還。いつ行っても意味深い時間を過ごさせてもらってきたが、今回は特別な日。68回目の慰霊の日。こんな大切な日に皆に足を運んで
もらう事自体、ある種の申し訳なさのような感情があったけど、やるからには、来てくれたからには、全力で言葉と音を鳴らす。こっちはそう腹を括ってた。
箱は初めてとなるOUTPUT。音は申し分なし。飯はみかどのちゃんぽん。麺じゃないんだね。これ、今回ハマっちゃったな。3回行ったもん。旨かったです。
さあ本番。久々だった。東北東海岸でライブをやった時以来の感覚。俺よりも生と死の核心の多くを知る人達の前に出て行って、それを語るという感覚。皆の
深い器に吸い込まれていく想い。しっかり2時間。今持ってる全てを表現させてもらいました。そこで聴いていてくれてありがとうございました。巡り巡って
68年後の夜、月が1番近づいた夜。音楽を鳴らせる、踊れる、集まって遊べる、酒を呑める、笑える、楽しめる、この平和。貴重だね。貴重であるという事を
身をもって学べました。いつもの仲間、あの夜初めて会った人、沖縄の皆の平安をいつも祈ってる。OUTPUTクルー!色々ありがとう。引き続きよろしくね!

翌日は海辺でBBQ。美しいサンセット、そして上空には戦闘機やオスプレイが。酔いと想いは尽きない。やんばる地鶏!猪!アグー豚!ごちそうさまでした。

そこから石垣島に飛んで、1人、どうしても行って食べてみたいお店がありまして、西表島に行ってきました。俺あたり、地元札幌から聴いてくれる人を求めて
自ら体を運ぶのですが、ここ西表島でお客を待っているお店、事実こうして札幌から人が訪ねてくるお店。さすがに滋味に溢れてました。いまいちそこで何を
考えていたか定かじゃないっす。透き通った出汁と泡波の向こうの小宇宙トリップ。それらを感じられる自らの疲れをほぐしてました。ごちそうさまでした。

石垣島。3年前に1度1人で旅して以来、ここでライブやってみたいとずっと思っていた。THA BLUE HERBとしてはキャリア最南の地。2日前には前入りして
あちこちで遊んでました。"あむりたの庭、そして音楽"で3日間旨い昼飯いただき、"島うし"でワイワイ肉喰ったり、石垣が誇る名店中の名店"COCOSONE"で
白百合呑んだり、川平湾に行ったり、晴天続きの連日、石垣の仲間の御世話になりっぱなしでした。でもライブ当日はさすがにビーサン脱いで、スニーカーに
チェンジ。何せこっちはそもそも仕事で来てっからな。やるときゃやるぜ。箱はメガヒットパラダイス。ここの力君にいきなりメールして、ここまで長かった
けど、遂にその日は来た。PAでナオミも来てて入念に音作り。何やら本番は灼熱な予感。さあ乗り込もう。遥か北海道から、俺のイルな言葉が通じる最南に。
受け止める皆のエネルギーも最強!とてつもない磁場がそこにはあったね。「ヤバい!ヤバい!」ってずっと思ってたよ。楽しみにしていた時間に比べたら、
それはあっという間だったけど、待った甲斐のある永遠だった。名残惜しすぎた。そこで聴いていてくれてありがとうございました。力君、色々ありがとう!

前夜の、そして八重山での1週間の余韻を大いに引きずりながら、新石垣空港を離陸。目指す地は札幌ではなく大阪。そう、もう1つ仕事がある。仕事と言うか
果たさなくてはならん約束がある。行き先はJOULE。待ち受けるはMIGHTY CROWN。そう、MIGHTY CROWNのMASTA SIMONとSHINGO★西成と創った
「MY PEOPLE」をブッかますために。リハの段階からあちこち強者だらけ。俺もその日を形作るパズルの1つ。MIGHTY CROWNというアートの完成のため
出来るベストを尽くしにやって来たんだ。そしてそれは、濃密な宴だった!本当にいいもん魅せてもらいました。MIGHTY CROWNという、これまで俺自身、
知ってるつもりではいた、巨大なヤマの、実際の凄みに触れさせてもらった。本物。そしてそれを支える多くの熱情、献身、信頼、愛にも。そして!PAPA B、
NG HEAD、ジャンルこそ違えど(大した問題でもない)、マイク1本で生き抜いてこられた理由を知りました。勉強になりました。俺もまだまだ精進します。

しっかし6月は長い旅だった。いつもと違うのは何故だろう。移動距離かな。いつどこからでも走り出せるかい?いつどこからでもどこへでも旅立てるかい?

良い夏を!

ILL-B